2014年大晦日の紅白歌合戦に、歌手の中島みゆきさん(62)が出場を果たす。2002年以来の出場となるが、これがなんと「景況感にプラス」になるという説があるという。
これは三井住友アセットマネジメントのウェブサイトで、チーフエコノミストの宅森昭吉氏が12月3日に発表したレポートによるもの。宅森氏は、
「紅白歌合戦に中島みゆきさんが12 年ぶりに2 度目の出場をすることが決まったことも景気にとって明るい兆しと言えそうだ」
という大胆な予想を展開し、前回の出場時と同様に「前向きな変化につながることを期待したい」と、まるで中島さんが救世主であるような扱いをしている。
「NHKの人気番組の主題歌」という点も共通
「12年前」の2002年、中島さんは社会現象を起こしたNHKのドキュメンタリー番組「プロジェクトX」の主題歌「地上の星」で、紅白に初出場を果たした年だ。
中島さんの出場場面は全歌手の中で最高視聴率を記録し、翌03年に「地上の星」はオリコン週間チャートで1位を獲得した。同じ年、日本は小泉政権下で景気が上向きになった年ともいわれている。宅森氏は当時を振り返り、
「『地上の星』の歌詞を改めて多くの人が確認したことで、やはり地道に一人ひとりが持っている技術力とか、創造力とか日本人独特の木目細かなサービス、そういったものを活用して頑張っていくということが大事なんだと感じた人が多かったのだろう。一人ひとりが『地上の星』になって頑張ることの大切さを感じ取ったことが、その後の息の長い『いざなみ景気』につながった面もあると思われる」
と。歌の影響を高く評している。今年の紅白でも、中島さんはNHKの連続テレビ小説「マッサン」の主題歌「麦の唄」で出場すると見られるが、このドラマは放送開始から視聴率は20%前後で推移しており、「プロジェクトX」ほどではないものの熱い注目を集めている番組だ。
さらに宅森氏は、景気の上向きを示す「身近な社会現象」として、大相撲や競馬を挙げている。九州場所の懸賞本数(1190本)は「地方場所として過去最高」。中央競馬のG1レースはジャパンカップの売上(前年比19.3%増)をはじめ、秋華賞(10月)以降の6レースは連続して前年比プラスを記録している。
中島みゆきに「未来の暗さを感じる」という人も
ただしキャリコネニュース編集部が、過去の数字を調べてみると、2002年の経済状況は宅森氏が指摘するような大きな盛り上がりを必ずしも見せていなかったようだ。
2002年の大相撲で一番多く懸賞が集まったのは、秋場所(9月)の449本で、次が九州場所の325本。今年の九州場所と比べると、3割から4割足らずという少なさだ。
中央競馬でも2002年の秋華賞からジャパンカップまでのG1レースは、天皇賞・秋(103.6%)以外は軒並み前年比で10%以上の減少を示している。ジャパンカップに至っては、前年比で14.3%も落ち込んでいる。
そもそも2002年に景気がよかったと実感できていた人が、どれだけいただろうか。この年の日経平均株価は、大発会始値(10631.00円)から大納会終値(8578.95円)までで約20%の下降を示しており、3年連続で前年比超えを実現しそうな2014年とはだいぶ異なる。
こう見ていくと、この2つの年にさほど関連性はなさそうだが、果たしてこれからの景気はどうなるのだろうか。最近のツイッター上には、「中島みゆきが(紅白に)出るのって景気が上向いた時に出てくる感じする」と、宅森氏と同様の期待を寄せるものと、
「寒空の下、身を竦ませながら中島みゆきをBGMに靖国通りを歩いていると、 なんか不景気であるとか、未来の暗さとかを感じて死にたくなった」
といった不安感を抱くものの、真っ二つに分かれる見方の投稿があがっていた。
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