ドキュメンタリー映画『加藤くんからのメッセージ』が、12月6日から東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。
2012年に製作された同作は、「妖怪になること」が夢だという男性・加藤志異の活動に密着した作品。1975年に岐阜で生まれた加藤は、大学受験の失敗や失恋、漫画家になる夢の挫折、美術家・荒川修作の思想との出会いなどを経て、早稲田大学第二文学部を11年かけて卒業。夜勤事務の契約社員として月収9万円の生活を送りながら、大学卒業時のスピーチでも披露したという「妖怪演説」や、自作の絵本を子どもたちに読み聞かせる「妖怪読み聞かせ」といった活動を行い、「夢は叶う」というメッセージを発信している。また、本秀康が絵を担当した『とりかえちゃん』『クッツケロ』といった絵本を発表している。
監督、撮影、編集、製作を手掛けたのは、大学の演劇サークルで加藤と出会い、撮影当時はOLだったという「綿毛」。なお、同作は『イメージフォーラムフェスティバル2012』で観客賞に輝いている。
同作について漫画家の押見修造は、「彼は空っぽだ。でも自分ではその事を認められない。認めたくない。だから彼は叫び続ける。『僕は空っぽじゃない!』と。彼をどう思うか、それはあなたの人生を映す鏡になる」とコメントしている。また、オフィシャルサイトでは漫画家の新井英樹と菊池良(株式会社LIG)によるコメントも掲載中だ。