採用面接の準備といえば、どんな質問にも答えられるようにするため、さまざまな想定をすることだと思われています。しかし、中には「答えてはいけない質問」が存在するという話を聞いたことがあるでしょうか?
これは一部の採用担当者が使うテクニックで、具体的には以下のような質問です。
「『あなたに100万円預けます。半年で必ず2倍にしてください』という依頼をされたら、あなたならどうしますか?」
不確実な回答は「不誠実」と判断されるおそれも
この質問は「このボールペンを1本1000円で売るなら、どんな売り方をしますか?」といったアイデアを聞く類のものではなく、答えが存在しない問いなのです。
「必ず2倍にできる」方法を知っている人がいれば、就職せず自分で儲けることに違いありません。確実な方法がない限り、「わかりません」「できません」と答えるしかないのです。しかし、これが正解なのだそうです。
この問いを使っている採用担当者の話を聞くと、その理由は2つです。1つめは、「お客様にいい加減なことを答えないかどうかを知るため」です。
指示では「必ず」と言われているのに、「必ずかどうか分からないけど、とりあえず何か答えておこう」とする不誠実な人を見分けられるのだそうです。
ただ、何のヒントもなければあまりに学生がかわいそうなので、前置きとして「分からないなら、分からないでいいですよ」と言うのがセオリーとのことです。それでも、
「FX投資をして、2倍にします」
「自分が事業をして倍にします。2倍になるまで諦めないので、必ず倍にしてみせます!」
など、涙ぐましい姿勢で荒唐無稽な答えを言ってしまう学生が、一定数存在するということです。そして、何らかの具体的方法を考えて答えた学生はどうなるのか。実はどんな答えであろうとも基本的に全員「落とす」のだそうです。
そういう選択肢があるということを頭に入れておく
この問いを使う2つめの理由は「落ちた時の納得材料」です。就活生からすると「自分がどうして落ちたのかわからない!」と憤りを感じる経験があることでしょう。その際に上記のような「答えられない質問」があると、落ちた時に、
「あぁ、自分が落ちたのはあの問いに答えられなかったのが原因なんだろうなぁ…」
と納得する材料になるのだそうです。私も勧められて何度かこの質問を使ってはみたのですが、結局合否の根拠になるとは思えなかったので、今では全く使っていません。
お客様の前での発言と、面接での発言には、明らかに状況の違いがあります。お客様に対する発言は、入社後に「分からないことは分からないと答え、すぐに調べること」と伝えておけば、確実に防ぐことができます。
しかし、選考の場である面接は、基本的に「答えることを強いられる場」です。「分かりません」とはなかなか言えない特殊な環境ではないでしょうか。この2つを同様に考えるのは、どうしても無理があるように私には思えてなりません。
ただ、このような採用テクニックが存在することも事実です。就活生のみなさんは、面接で無理な問いをされたら、素直に「分かりません」「できません」という選択肢もあることを思い出してみてくださいね。
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