今年、大ヒット映画「アナと雪の女王」の主題歌「Let It Go」を歌い、紅白出場も期待されていた女優の松たか子さん(37)が11月下旬、第1子の妊娠を発表した。ネットには、ファンを中心に祝福の声が挙がっている。
そんな中、松さんが妊娠によって「稼ぎ時を逃した」とする関係者のコメントが週刊誌に掲載され、批判が殺到している。これでは「誰も子どもを産む気にならない」というわけだ。
放送関係者にとって「大きな損失」だったのか?
物議を醸しているのは「週刊ポスト」12月12日号に掲載された「松たか子妊娠『最大の稼ぎ時に大きな損失』と関係者肩落とす」という記事。活躍した1年の最後に妊娠を発表するのは「本人にとっては最高の気分かもしれない」としながら、
「今こそ松さんは国民的スターになれる存在なのに、これでしばらくはハードな仕事は無理。我々としても大きな損失だし、本人も人生最大の稼ぎ時を逃すことになるのではないか」
という「放送関係者」だという人物のコメントを紹介した。
映画が大ヒットして周囲は商機を期待していたのに、本人が妊娠して仕事ができなくなって残念、ということのようだ。この記事が12月3日にビッグローブニュースに掲載されると、ツイッターを中心に批判の書き込みが殺到した。
「金儲けしか頭にないのかよ。ゲスすぎる。自分らの利益ばっか」
「すさまじく下品だな。人を金儲けの道具としか思っていない」
「本日のマスコミによるハラスメント事案」
確かに特番が多数組まれる年末年始は、その年に活躍した芸能人の稼ぎ時。しかし松さんにも、仕事に優先する自分の人生やプライベートな生活がある。
かつて35歳以上の出産を「高齢出産」と呼ぶところもあったというが、37歳という年齢を考えても、今がダメならいつがいいということになる。ある放送関係者も「これが放送界のスタンダードだと思われたら心外」とツイートした。
「メディアは男性目線でガラパゴス」と呆れる声も
今回の記事は松さんだけの問題ではない、という見方も多い。何よりも仕事を最優先し、本人の事情を重視せず、妊娠を何らかの損失と捉えるような世の中では、「誰も子どもを産む気にならない」というのだ。
「子供が生まれてくることが損失!? まさにこの国の病の片鱗だなぁ…」
「世界よ、これが少子化大国日本だ」
「子供を持つことに夢が持てなくなって当然だわ」
と、日本社会全体の問題として嘆く人もいる。ブラック企業アナリストの新田龍さんは12月4日のFacebookで、「こんなマタハラ記事、日本じゃなかったら訴訟モノだわ」と激怒。
「こういう記事が当たり前に世に出てしまう社会だから、出生率も女性管理職比率も上がらないし、イクメンも定着しないんだよ」
「『育児しながら働くハードルは高いんだよ~』と自ら示してるようなもんだ」
と呆れている。
この投稿には360件の「いいね!」がつき、大学教員の男性からは「メディアの視点はかなりの男社会で、男社会にとってのメリットデメリットしか語られない。ホント、ガラパゴスだと思う」というコメントも寄せられていた。
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