ブラジル・インテルラゴスで11月30日に決勝レースが行われたWEC世界耐久選手権の今季最終戦。ポルシェが参戦後初勝利を挙げ、トヨタもダブルタイトルを決めたこのレースは、アウディのトム・クリステンセンにとって現役最後のレースとなった。
ル・マン24時間で前人未到の9勝を挙げるなど、スポーツカーレースの分野で数々の栄冠を手にしてきたクリステンセンは、前戦バーレーンを終えた後の11月19日に、このインテルラゴス戦限りで現役を引退することを発表した。
ここ数戦は苦戦を強いられる形となっていたアウディ陣営だったが、クリステンセンの駆る1号車は今回、大きなトラブルに見舞われることもなくダブルスティントや燃費走行などを遂行し、最後は3位でチェッカー。クリステンセンは、アウディでの初レースとなった2000年のセブリング12時間でも優勝を飾っており、そのことにも触れながら今回のレースをこう振り返る。
「みんなには本当に感謝をしている。アウディドライバーとして初めて参戦した2000年のセブリングで表彰台を獲得したけど、最後のレースも、厳しい局面を乗り越え、表彰台獲得で締めくくることができたよ」とクリステンセン。
「ピットストップの回数を減らすために最後は燃料消費を極力抑えて走ることになっていて、それが僕の担当するスティントだったんだ。セーフティカーが入るまではとても厳しい状況だった」
「初優勝を遂げたポルシェ、そしてタイトルを獲得したトヨタに、おめでとうと言いたい」と、シーズンを通して戦ったライバル陣の健闘を讃えたクリステンセン。ただ、最後はアウディでのキャリアを振り返り、次のように今週末、そして自身の現役生活を総括した。
「アウディというベストなチームとともにキャリアを過ごすことができた僕は幸せだった。今回はキャリアの中で最高の週末になったよ」