日本のエンタメ界を代表するカリスマ、秋元康氏。そんな才能に憧れるあまり、うわべだけを真似した悪ノリを仕事に持ち込むバブル世代が職場を混乱させているという。2014年11月27日放送の「ワーキングデッド」(BSジャパン)は「秋元Pもどき」のゾンビ社員を、再現VTRを交えて紹介していた。
ある製紙会社では、会社のイメージアップを狙って会社組織を改革し、社運をかけたプロジェクトを開始しようとしていた。そのリーダーを選ぶ際、秋元Pもどきデッドの梨本康(56)は突然「常識を壊すのがヒットの方程式!」と言い出した。
「常識を壊すのがヒットの方程式!」とゴリ押し
反対者が多いのにもかかわらず、梨本のゴリ押しで「ジャンケン大会」で決めることになり、入社1年目の新人女子社員がリーダーになってしまった。これには女子社員も「無理です!」と拒否したが、梨本の「無難より意外性!」という一言で一蹴されてしまった。
さらに梨本は肝心のプロジェクトの内容よりも、各社員にキャッチコピーを与えてモチベーションをアップさせる方に力を注ぎ始めた。しかし、会議の場で本人に読み上げさせたその内容は、品のない下ネタだった。
「入社してから早10年、恋より仕事、10年ご無沙汰でーす。仕事命のキャリアウーマン、南たかこちゃん32歳でーす」
「真面目だけが取り柄です。でもこうみえて風俗が大好き35歳、大池シンヤでーす」
さらにエスカレートした梨本は、取引先へのイメージアップを図るためと称し、社内の美形女子社員を4人集めて会社公認のアイドルグループを作った。グループ名は「4545-5(シコシコフォー)」。
難色を示す女性社員たちに、「インパントが大事。シコシコ働く、シコシコ稼ぐ」という意味だと言い渡した。まるで秋元Pがバブル期に手がけて、一世を風靡した「夕焼けニャンニャン」やとんねるずの悪ノリのようだ。
「社内の活性化が第一」が空回りする結果に
梨本はさらに、1人ひとりにキャッチコピーを可愛く言わせるとともに、取引先への「神対応心得」として、
「商談相手は大事なファンと思え」
「ツーショット写真はこっちから密着」
などと強要。女子社員たちの「彼氏がいるからムリ」という抗議には、「アイドル恋愛禁止、常識! 彼氏いる奴は博多に左遷!」と怒鳴り散らしていた。
ゲストには「『意識高い系』という病」等の著書をもつコラムニストの常見陽平さんが登場し、秋元Pもどきが跋扈する背景を分析した。
「社内の活性化が第一ということで、ガス抜きの意味を込めて面白いことをやってみようとするが、それが行き過ぎると的外れになるのでは」
番組では、不確かな情報で社内を混乱させる「社内ゴシップデッド」も紹介。ウワサ話を広めるのはまだ可愛い方で、最終的には捏造してしまうこともあるという。
某商社では、男性社員の槙尾(34)が社内のゴシップを見逃すまいと会社中を観察してまわっている。女子社員に「期待しているよ」と声をかけた部長(48)は、「不倫している」と吹聴されてしまった。
ある男性社員が「ヨメが田舎に帰っていて洗濯物が大変」という雑談をしただけで、「あいつは風俗通いでヨメが逃げた」と噂された。不倫ドラマに共感する会話を聞かれてしまい、「可愛い顔して性欲強い」などと言われた女子社員もいる。
パワーポイントで「人間相関図」づくり!?
ゴシップがゴシップを生む状態の社内には、いつしか社内ゴシップ化したデッドがあふれ、業務が停滞する事態に。デッドたちはネットワークをつくり、喫煙所などに集まってゴシップ話に興じているという。
常見さんは、「しょうがない人、というあきらめも大事。パワーポイントで人間相関図を作っている人など本当にいる」と話し、対処法をこう説明した。
「悪質なものは記録をとって、上司や人事に報告した方がいい。みんなに相手にされていない人なので説教するか、相手にしないこと」
今回も若干大げさすぎるのではないかと思えた再現ドラマだが、職場で独自の人間相関図を作る人がいるという常見さんの言葉に驚いた。秋元Pのプロデュース力を会社の活性化にも生かそうという発想は悪くはないが、ただのアイドル好きの押し付けにしか見えず残念だ。
仕事に集中していれば、悪ノリもゴシップも不要と思うのだが、やはり大手はヒマなのか。そういう事しか興味のない人たちの仲間入りをしてしまうと、社内で落ちこぼれの烙印を押されてしまわないのか不思議に思った。(ライター:okei)
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