11月29日に、アブダビのヤス・マリーナで行われたGP2合同テストの3日目に、RTロシアン・タイムから参加した佐藤公哉。2013年のチャンピオンチームから参加し、昼のセッション1は31周を、夜のセッション2は32周を走行した。走行後、公哉に感想と、今季在籍したカンポス・レーシングとの差を聞いた。
2014年はカンポスからGP2に参戦した佐藤公哉は、13年にGP2チャンピオンを獲得、14年もミッチー・エバンスが2勝を飾ったRTロシアン・タイムからテストに参加した。昼のセッション1は1分50秒618で18番手をマーク。ただ、セクター3でミスがあったため、タイムが伸び悩んだと語った。以下はセッション1の後の公哉のコメントだ。
──カンポスと比べてRTロシアン・タイムのクルマはどんな印象ですか?
「まず、先週末のレースのときより路面が良くなっている影響もあるので、一概には比べられません。ステアリングはメチャ重いです。クルマはフロントにグリップを感じますし、低速コーナーが速い。ただ、クルマのリアはやや硬いように感じます。もう少し柔らかくして、トラクションを稼ぎたいところです」
──昼のセッション1の流れを教えてください。
「中古タイヤを使ってですが、セッションの最初からアタック&リラックスの予選モードでした。2セットの中古タイヤを使ってそれを繰り返し、セッションの半ばに新品タイヤを投入して再び予選モードをトライしました」
──中古タイヤの自己ベストは1分50秒822、新品タイヤの自己ベストは1分50秒618。伸び代はわずか0.2秒だけでした。何があったのでしょう?
「最も大きな原因は、セクター3でおかした2回の大きなミスです。1回はストレートエンドのブレーキングで行きすぎ、2回目は最終コーナーでやはり行きすぎました。データ上で約0.6秒も失っているとエンジニアから指摘されました」
──そうなると5、6番手が視野に入っていた計算ですね?
「あくまで仮定にすぎませんが、セクタータイムをしっかりと揃えて一周できていればそうですね。少なくともトップ10入りは可能でした」
──夜のセッション2に向けてはどうでしょう?
「1セット残している新品タイヤをしっかりと使いきりたいと思います。ただ、思ったよりも新品タイヤでのアタックでタイムが伸び悩んでいますし、新品タイヤを2セット残しているライバルも少なくないので、厳しい争いになると思います」
その後迎えた夜のセッションでは、32周をこなし1分50秒165と21番手。ただベストタイムこそ下位だが、RTロシアン・タイムのマシンは「決勝の戦闘力はかなり高いクルマ」だと評している。
──夜のセッション2の流れを教えてください。
「昼のセッションで使った中古タイヤで、アタック&リラックスを繰り返しました。気温や路面温度が下がっていたこともあって、中古タイヤでも1分50秒569と昼の自己ベストを更新できました」
──セッション開始30分過ぎに新品タイヤを投入しました。
「クルマの印象は悪くなく、体感速度も速さを感じていました。しかし、どういう理由か分かりませんが、なぜか新品タイヤの一発ではタイムが伸びませんでした。1分50秒165というのはちょっと納得できません」
──自分の感覚とタイムに大きなズレを感じていると?
「かなり感じています。たとえばハンガリーのレースでは、それほど速いと感じていないのにタイムは良かった。今回のテストでは、十分に速さを感じているのにタイムがよくなかった」
──その一方で、セッション終盤のロングランは順調でした。
「はい。中古タイヤを使ったロングランでは、1分52~53秒台のラップタイムを簡単に維持できました。最後にエンジニアからプッシュしろという指示があったので攻めたら、ちゃんとタイムにも表れました。予選の戦闘力は不足していますが、決勝の戦闘力はかなり高いクルマです」
──今回のテストの総括と来季について聞かせてください。
「チームによってクルマの個性はたしかにありますが、絶対的な性能の差や戦闘力の差は感じませんでした。とはいえ、違うチームのクルマに乗ったり、違うエンジニアと仕事したり、すべてが良い経験でしたし、自分の中での引き出しが増えました。来季についてはいくつかの選択肢があります。カンポス・レーシングからは、『戻ってくれば? 来季も一緒に戦おう』と相変わらず誘ってもらっています。慎重に状況を見極めて判断したいと思います」