英エコノミストのウェブサイトが「The World in 2015: Global population」という興味深い動画を掲載しています。これは「The end of the population pyramid(人口ピラミッドの終わり)」という記事中に挿入された、4分ほどのものです。
1970年から2060年までの世界の人口ピラミッドの変化を分かりやすくアニメーションにまとめ、世界の人口が「ピラミッド型」から「柱型」へと急速に変化していくことを示しています。
出生率が低下。中国やインドで平均寿命延びる
「人口ピラミッド」とは、年代別の人口構成をグラフ化したもの。1970年、世界の人口構成は0~4歳の人口が全体の4割ほど、5~9歳が3割ほどを占め、年齢が上がるにつれ人口が減っていく単純な「ピラミッド型」でした。
これは、寿命が短く死亡率が高い原始的な社会では一般的な形で、例えば1700年のイングランドの人口構成はきれいな三角形を描いていました。
しかし、2015年の世界の人口構成は「ワシントンD.C.の国会議事堂のドームのような形」になるとエコノミストでは報じています。これは日本では「釣鐘型」とされる人口構成で、0~4歳の人口は全体の1割ほどに留まり、40歳まで各年齢における人口がほとんど変わらず、40歳以降の高齢になるにつれ人口が減っていくものです。
1970年から2015年にかけての人口増加率(予想)は、0~19歳が平均42%(7億人)なのに対し、20~39歳が平均で128%(13億人)と人口の伸びがほぼ2倍になるとされています。これは世界の出生率が年々下がっていることに起因します。
動画では、2060年の人口ピラミッドは更に形を変えると予想しています。中国やインドなど世界の人口比の中でも大きな割合を占める国の経済が発展することで、それらの国の平均寿命が延び、自分の親の世代よりも長生きすることが当たり前になります。
また、出生率が低下し1家族を構成する人数が減っていきます。高齢層と若年層の人口比が近づくために、人口ピラミッドは先の尖った「釣鐘型」から、ピラミッドの上方の角度が広がり「柱」のような形に変わると考えられています。
増加した人口の17億人は「40~79歳」
2015年に72億人になると見られる人口は、2060年には95億人にまで増えると予想されていますが、増加する人口のうち17億人は40~79歳、更に細かく見ると60~79歳が8億5000万人の伸びと、高齢層の人口増加が非常に大きいことが分かります。
かたや0~19歳の人口増加は2億人程度と考えられているので、60~79歳の人口増加は若年層の約4倍ということになります。85歳以上の人口増加率は、2015年と2060年を比較すると281%と、こちらも注目に値する数値となっています。
日本は高齢化社会が進んでいると言われて久しいですが、世界の人口構成としても高齢者の割合が劇的に増えていくことが予想されています。日本だけではなく、世界全体として人口比の変遷に伴う社会の変化が求められていくことでしょう。
(参考)The end of the population pyramid (The Economist)
あわせてよみたい:「良く分からん大学多すぎ」「Fラン潰せ」