2014年11月30日 13:51 弁護士ドットコム
「ミクシィが復活した」という話をよく聞くようになった。スマホ用のゲームアプリ「モンスターストライク(モンスト)」の利用者数が1500万人(世界累計)を突破するなど、好調ぶりが伝えられている。
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もともとミクシィはSNSでブレークし、ネットベンチャーの代表的な存在となったが、ここ数年はフェイスブックやツイッターなどのライバルに押され、停滞しているイメージが強い。今回の「復活劇」は数字でどう裏付けられているのだろうか。決算書類の分析について、西村昌典税理士に聞いた。
「株式会社ミクシィの2014年3月期決算の売上高は121億円で、対前年比マイナス3.8%の微減でした。当期純損益は2億円の赤字となりました(前年は16億円の赤字)。
しかし、2013年9月末にリリースされた『モンスターストライク』が大ブレークした影響で、2015年3月期の第2四半期決算(今年11月発表)では、売上高349億円と対前年同期比778%増、四半期純利益も90億円と大幅な改善となりました。ちなみに、前年同期の四半期純利益は13億円の赤字でした」
会社の業績としては、明らかに復活しているようだ。
「では、セグメント別に見た場合の売上はどうなのでしょうか。
『mixi』などのSNS事業で構成される『メディア事業』の売上高は、24億円と対前年同期比で30%も減少しています。一方、『モンスターストライク』などのゲーム事業で構成される『コンテンツ事業』は、前年の金額がほぼ0円であるのに対して、今第2四半期は294億円と大幅に増加しています。
また、求人広告事業などの『ライフイベント事業』も28億円の売上を計上し、全体の売上向上に貢献しています」
なるほど、ゲームが好調な一方で、SNSとしての「mixi」は停滞しているようだ。今後も経営は順調に行くのだろうか。
「『モンスターストライク』に代表される『コンテンツ事業』の依存度が高いことは、事業リスクでもあります。ゲームは陳腐化の可能性がある程度高いと思われることから、利用者離れが進んだ場合は、大きなリスクとなるでしょう。
リスクを下げるには、魅力のあるコンテンツを続々とリリースしていくことがポイントとなります。ミクシィに限らず、一つの事業への依存は、企業として大きなリスクを抱えているといってもよいでしょうね」
SNSなどのメディア事業の売上が30%も減少しているのに、ゲームの大ヒットで一気に挽回したというのが、今回の「復活劇」のようだ。はたして、SNSとしての「mixi」が低迷したまま、ゲーム事業を軸に飛躍することができるのか。持続可能な復活かどうかを見極めるのは、もう少し先になるのかもしれない。
【取材協力税理士】
西村 昌典 税理士(にしむら・まさのり)
監査法人・上場事業会社を経て独立。経営・会計・財務などでお困りの方をサポートしています。事業会社での豊富な経験がございますので、事業を行う立場からのアドバイスを得意としています。いつでもお気軽にご相談ください。
事務所名 :西村・公認会計士・税理士事務所
事務所URL:http://mn-cpa.jp
(弁護士ドットコムニュース)