厚労省の人口動態調査によると、2013年に日本で生まれた子どものうち、法的に婚姻関係にない「事実婚」や「内縁」の夫婦から生まれた子どもの割合は2.23%だそうです。終戦直後には3.8%あったものの、1980年前後の0.8%と比べると高い水準になっています。
しかしこの数字は世界的に見ると、とても低い割合です。2012年のヨーロッパ諸国の調査によると、アイスランドでは全体の61%が「婚外子」。エストニア58.4%、ブルガリア57.4%、ノルウェー54.9%、スウェーデン54.5%など50%超えも珍しくありません。
比較的低いドイツでも34.5%、英国は47.6%。婚外子が多いイメージのあるフランスでも、1970年の時点では6%台どまりでしたが、90年代に30%台、2000年代に40%台と上昇を続け、2011年には55.8%となっています。
重視されなくなった「結婚という法的手続き」
全米保健医療統計センターの報告によると、米国では2013年に未婚女性の出生率がここ数十年で初めて低下したそうです。未婚女性1000人当たりで2008年には52人だった新生児は、2013年には7人減少して45人となっています。
女性全体の出生率も、リーマンショックの影響によって一時減少しましたが、景気の回復によって持ち直すと予想されています。
一方で婚外子の割合は、長期的にみると爆発的に増えています。1960年代には5%だった婚外子の割合は、1990年には28%までになり、その後徐々に割合は多くなり、2008年からは41%を保っています。この傾向はヨーロッパと同様です。
このような婚外子率の増加には、2つの要因があると考えられています。ひとつは「未婚女性にも子供を産んで育てる」という選択肢があるということが浸透してきたこと。2つ目は「女性の未婚化」です。
とはいえ、女性が結婚せずに子どもを産むということは、「女手1つで産み育てる」という意味ではないようです。米国では未婚のまま出産する女性の半数以上は、同棲しているパートナーがいることが分かっています。すなわち、結婚という法的手続きをとらないカップルが増えているということです。
意識調査も「受け容れられる」6割
米国人の「婚外子」に対するイメージも変わりつつあるようです。2011年のピューリサーチセンターの調べでは、未婚のまま女性が子どもを産むとことに対して、64%の米国人が「悪しき変化」と答えています。「結婚していてもしていなくても特に違いはない」と答えたのは29%、「いい変化」と答えたのはたった4%でした。
しかし2014年のギャラップ世論調査では、未婚のまま女性が出産することについて58%の人が「受け容れられる」と答えていることも分かっています。2002年には受け容れられるが半分以下であり、とても大きな変化です。
これまで子どもを産むということは、「結婚した女性の特権」のようなものでした。しかし昨今では女性の社会進出などから暮らしや考え方が変化し、結婚という形式にこだわる必要がなくなってきているのかもしれません。
ちなみに、2012年の女性1人あたりの出生率は、フランスが2.01、英国が1.90。一方で日本は2013年時点で1.43です。
結婚や出産に対する考え方が大きく変わることによって、それに対する法律や社会的サポートも変化する必要があります。今後日本でも、未婚女性の出産が広く受け入れられる日は来るのでしょうか。
(参考)Birth rate for unmarried women declining for first time in decades (Pew Research Center)
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