2014年11月29日 18:02 弁護士ドットコム
今年も残すところ1カ月。ネットショップを運営する個人店主やデザイナーなどのフリーランスにとって、年明けの確定申告に向けた準備が始まるころだ。そんななか、インターネットでスモールビジネスをおこなう個人事業主を対象にした「確定申告セミナー」が11月中旬、東京・恵比寿で開かれた。
【関連記事:犬の飼い主に税金を課す「犬税」を断念した大阪府泉佐野市――なにが問題だったのか?】
ネットショップ開設サービス「BASE」と税理士マッチングサイト「税理士ドットコム」が共催したセミナーで、税金の専門家である税理士が、確定申告の注意点や節税するためのポイントなどを解説した。
「確定申告とは、1年間の税金を自分で計算して、税務署に申告して納税することです」
講師の古尾谷裕昭税理士はこう説明したうえで、確定申告の2つの方法について解説した。
「個人事業主の確定申告には、『青色申告』と『白色申告』の2種類があります。青色申告とは、より細かく経理を行うことで、税金面でメリットを受けられる申告方法です。これを行わないと、自動的に白色申告となります」
青色申告をするためには、複式簿記といわれる方法で経理をして、帳簿を保存しなければいけない。また、貸借対照表や損益計算書といった決算書を作成する必要があるため、経理にくわしくない人には少しハードルが高い。
しかし最近は、手軽に記帳できる会計ソフトやクラウドサービスがあるため、「以前よりも簡単になった」という。
青色申告の一番のメリットは、税金を計算するときの「特別控除額」が65万円と大きい点だが、そのほかにも「赤字を最大で3年間、繰り越せる」という利点があることを、古尾谷税理士は挙げる。
「税金は、売上から経費を差し引いた『儲け』に対してかかります。たとえば、1年目の儲けがマイナス100万円(赤字)で、2年目の儲けがプラス100万円(黒字)だった場合、本来ならば、2年目は儲けの100万円に対して税金がかかります。
しかし、青色申告をしていれば、繰り越した1年目の赤字を差し引くことができます。つまり、マイナス100万円とプラス100万円で、合計の利益が0円になるので、税金はかかりません。このことから『赤字は資産』とよく言われます」
ほかにも、青色申告の良い点はある。「家族に事業を手伝ってもらって給料やアルバイト代を払った場合、『専従者給与』として経費に入れることができるという大きなメリットがあります」。古尾谷税理士はこう説明した。
セミナーの参加者で、ニット衣料品をネット販売しているという30代の女性は「これまで白色申告をしていたが、青色申告をしたほうが良いことがわかった。来年からは青色申告をしたい」と感想を述べていた。
青色申告をするには、原則としてその年の3月15日までに、税務署に届出をする必要がある。つまり、事前に届出をしておかないといけないのだ。今年の分は白色申告という人も、来年から青色申告を検討してみてもよいだろう。
(弁護士ドットコムニュース)