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1つの家族を通してシンガポールの現在を描く『イロイロ』、カンヌ新人監督賞受賞作

2014年11月28日 21:40  CINRA.NET

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『イロイロ ぬくもりの記憶』 ©2013 SINGAPORE FILM COMMISSION, NP ENTERPRISE (S) PTE LTD, FISHEYE PICTURES PTE LTD
映画『イロイロ ぬくもりの記憶』が、12月13日から東京・新宿のK's cinemaほか全国で公開される。

同作は、1984年生まれの映画監督アンソニー・チェンの長編デビュー作。自身の幼少期を題材に、家族の問題、少年の成長、資本主義社会への疑問、移民や社会階層を巡る問題などを描き、台湾の『アカデミー賞』と言われる『金馬奨』で4部門を受賞したほか、昨年の『カンヌ国際映画祭』で新人監督賞にあたるカメラドールを獲得した。

物語の舞台は1997年のシンガポール。わがままな振る舞いが多く、学校でも問題を起こしている一人っ子のジャールーを主人公に、フィリピン出身のメイドであるテレサとの出会いをきっかけにジャールーが心を開いていく様子や、息子と心を通わせるテレサに対して嫉妬に似た感情が芽生えていく母の姿、父のリストラなどを描く。

なお同作について、是枝裕和監督は「ホウ・シャオシェンやエドワード・ヤンから台湾を、ジャ・ジャンクーから中国の今を知ったように、私たちはアンソニー・チェンによってシンガポールの人々の営みをリアルに知ることになる。アジアからまたひとり、時代を代表する監督が誕生したことを素直に喜びたい」とコメントしている。