WEC世界耐久選手権の2014年シーズンが、11月30日にブラジル・インテルラゴスで最終戦を迎える。今季第8戦となるこのレースには、4クラス合計26台がエントリーしている。
LMP1クラスでは新たな車両規則が導入されるなど新時代を迎えた今年のWEC。ポルシェもLMP1への参戦を開始し、総合優勝争いはトヨタ、アウディとの三つ巴の戦いが展開されている。
新規定でハイブリッドシステムの搭載が義務付けられたメーカーワークスが争うLMP1-Hクラスでは、前述の3チームが2台ずつを投入。すでに8号車トヨタTS040ハイブリッドを駆るアンソニー・デイビッドソン/セバスチャン・ブエミがワールド・チャンピオンに輝いているが、マニュファクチャラーズタイトル争いではトヨタとアウディが戴冠の可能性を残している。
40ポイントのリードで首位につけるトヨタとしては、あと5ポイントを獲得すれば自力でダブルタイトルを決められる優位な状況だが、チームを率いる木下美明代表は「我々は非常に良い位置につけていますが、ブラジルでのチェッカーフラッグが振られるまで、何が起きるか分かりません」と気を緩めない。なお今回、中嶋一貴はビザ発給の問題で欠場となり、代わって7号車トヨタにはマイク・コンウェイが再び名を連ねている。
一方のアウディ陣営も、「形勢を一変させることは難しいかもしれないけれど、我々は決して諦めないよ」(LMPプロジェクトリーダー/クリス・レインケ)と最後まで戦いぬく姿勢を見せる。さらに、ル・マン24時間で前人未到の9勝を挙げているトム・クリステンセンがこのレース限りでの現役引退を発表しており、そのラストレースにも注目が集まる。
タイトル争いには絡んでいないものの、直近の2レースで連続ポールポジションを奪い、バーレーン戦では2位、3位のダブル表彰台を獲得したポルシェも「表彰台のもう一段上を目指して戦えることを願っているよ」(14号車ドライバー/ニール・ジャニ)と参戦初年度での優勝に向けて意気込みを見せた。
ハイブリッド非搭載のLMP1-Lクラスは、レベリオン・レーシングが投入する2台のレベリオンR-One・トヨタ、そしてロータスのCLM P1/01・AERという計3台のエントリーに変更はなし。12号車レベリオンが、前戦の結果でクラス内でのダブルタイトルを決めている。なお、僚機の13号車には、12月にスーパーフォーミュラのルーキーテストに参加するファビオ・ライマーも乗り込んでいる。
一方、4台が争うLMP2クラスでは、ドライバー/チームの両タイトルともに決着はこの最終戦に持ち越された。前戦バーレーンを終えて、そこまで2位だったG-ドライブ・レーシングの26号車リジェJS P2・ニッサンが両ランキングで首位に浮上。ル・マン24時間で好成績を挙げるなど前戦まで首位をキープしていたSMPレーシングの27号車オレカ03・ニッサンは、前戦まさかのノーポイントで2位に転落、8ポイント差でG-ドライブを追う展開となっている。また、タイトル争いには絡まないものの、KCMGの47号車オレカ03・ニッサンは、前戦での優勝に続き今季3度目の勝利を狙う。
フェラーリ、ポルシェ、アストンマーチンのワークス格のチームがこちらも三つ巴で争うLM-GTEプロクラスでは、バーレーン戦の結果、AFコルセのジャンマリア・ブルーニ/トニ・バイランダー組51号車フェラーリ458イタリアがGTのドライバーズタイトルを決めているほか、LM-GTEプロクラスのチームタイトルもAFコルセが獲得。ただ、GTのマニュファクチャラーズタイトルでは、ポルシェが首位フェラーリと25ポイント差で2位につけており、最終戦での逆転戴冠を目指す。
LM-GTEアマクラスは、95号車アストンマーチン・バンテージV8がダブルタイトルを決めているが、今回も4クラス中最多となる7台がエントリー。AFコルセの61号車フェラーリのドライバーとして、2度のF1王座を獲得した経験を持つエマーソン・フィッティパルディも参戦。現在67歳のレジェンドドライバーがどのような走りを見せるのかにも注目だ。
WEC第8戦インテルラゴスは、現地時間28日に2回のフリー走行が行われ、29日はフリー走行と公式予選、そして30日の13時(日本時間12月1日午前0時)より6時間の決勝レースが開催される。