27日からアブダビのヤス・マリーナでスタートしたGP2合同テストに、ARTグランプリから参加している2014年全日本F3チャンピオンの松下信治。昼のセッションで32周を走り込んだ松下に、走行後の感想を聞いた。
1993年生まれの松下は、全日本カートを経て2011年に鈴鹿サーキット・レーシングスクール・フォーミュラ(SRS-F)を首席で卒業。12年にフォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)のチャンピオンを獲得し、13年から全日本F3に参戦していた。
若手育成プログラムであるホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)に参加し、今季は全日本F3で高星明誠(B-MAX NDDP F312)、山下健太(PETRONAS TOM'S F314)と激しいチャンピオン争いを展開。見事チャンピオンを獲得し、今回GP2のアブダビテストにトップチームのひとつであるARTグランプリから参加した。
GP2に1年間参戦した伊沢拓也のアドバイスを受けながら走行した松下は、テスト1日目昼の走行で32周を走行。1分52秒304でタイムとしては最後尾となったが、夜に走行する2日目に向けさまざまなことを学んだ様子だ。
──今日はどのようなメニューでしたか?
「クルマのセッティング変更などは一切しませんでした。まずは、自分とGP2マシンとコースの慣熟を目的に走り始めました。新品のミディアムタイヤしかなかったので、最初はそれを履いてコースインしましたが、日本のタイヤとピレリタイヤの特性は大幅に違うので、すごく難しさを感じました。最終的に自分の納得のいくようなラップは1回もできませんでした」
──使ったタイヤはその1セットだけですか?
「はい。1セットだけです」
──しかも、いきなりタイムアタックでしたね。
「はい。後半にレースシミュレーションがあったのですが、その1周目に右前輪のタイヤにフラットスポットを作ってしまって、そこからは十分に走れませんでした。もう少し走りたかったのですが残念です。すごくもったいない。テスト2日目は夜のセッションなので、昼よりは乗りやすくなるでしょう。そのあたりはきちんとアジャストして頑張りたいですね」
──タイムアタックは1回だけですか?
「アタックして休んで、アタックして……という具合に1、2回やりました」
──やはりタイヤの違いがいちばん大きい?
「そうですね。まったく違いました。伊沢さんから聞いていた以上に、想像以上に違いました」
──セクター2の2本目のストレートエンドからセクター3の前半区間をスタンドから観ていました。2回ほど白煙を上げていましたがブレーキは果敢でしたし、そのあとのテクニカルセクションもリズミカルに乗っているように見えました。
「ブレーキはそうですね。でもまだまだスムーズに乗れていません」
──スタート練習もしました。
「ハンドクラッチの経験が少ないので……。無事にスタートはできましたが、バイブレーションが酷かったですね。ただ、ピットレーン出口は路面のミューが低く、実際にスタートする路面とは状態が大きく違うので、あまり参考にはなりません」
──GP2のクルマの印象はいかがでしょう?
「GP2のクルマ自体はすごく速いし、パワーもあるので、悪いクルマではないと思います。ただ、タイヤに自分を合わせられるか合わせられないかが課題です。2日目はそこに気をつけて走ればもっといけると思うので、そこを信じて頑張りたいと思います」
──スーパーフォーミュラとの比較はどうでしょう?
「やはりタイヤの違い。まったく違います。クルマそのものに大きな違いはありませんが、GP2のクルマのほうはブレーキプレッシャーが重いくらいですね」