米国では今、大学入学の手続き真っ盛り。世界にはフランスや北欧の国々のように、大学の学費がタダの国もありますが、日本とともに授業料の高さで知られる米国の学生たちは、奨学金探しに大わらわです。
今年は国内の50以上の大学が、年間6万ドル(約706万円)以上の授業料を課していると言われます。これはアイビーリーグなどの有名校での話と思われますが、誰もが簡単に出せる額ではありません。11月18日の米ビジネスインサイダーには、米国の学生が受けられる「奇抜な奨学金」について、サラ・シュマルブルフが寄稿しています。
「コンプレックスを苦にするな」との励ましか
目につくのが、学生が劣等感を抱きがちなマイナーな容姿などを条件にした奨学金です。
まずは「赤毛の高校生のための奨学金」。米国では金髪の方がもてはやされるようですが、生まれつき赤毛の人が体験談を絵やビデオや文章で表現し、幼児期のものを含む写真数枚といっしょに送ると、奨学金500ドル(約5万9千円)が当たります。赤毛が米国人全体に占める率は2%だそうですから、貴重ですね。
「米国小さな人奨学金」に応募できるのは、身長147センチ以下の人だけ。250ドル(約3万円)から1000ドル(約11万8千円)以上の奨学金が授与されます。
逆に「国際背高クラブ奨学金」もあり、こちらは身長188センチ以上の男性か、178センチ以上の女性が応募できて、1000ドル(約11万8000円)もらえます。赤毛も背の高さも、勉強するうえで苦にすることはないと励ます意味があるのでしょうか。
ペンシルバニア州のジュニアータ・カレッジでは、「左利き」というだけで学生に2000ドル(約23万6000円)から5000ドル(約59万円)の奨学金を出すそうです。名前が「ZOLP」という学生の学費を免除する奨学金もあります。
外見だけでなく努力でできるものもあり、変わった特技を対象とした奨学金もあります。「アヒルを呼ぶのが上手な人への奨学金」は、アーカンソーで1974年から続いているコンテスト。これまで32の大学に通う学生に合計6万ドル(約706万円)の奨学金を授与してきました。
今年の金額は、第1位の2000ドル(約23万5千円)から第4位の500ドル(約5万9000円)まで。11月28日の金曜日に会場へ来て、アヒルを呼んでくださいとのことです。
中退率が世界一高い米国の大学
このほか、米国にはスタートレックの国際ファンクラブ「スターフリート」の会員向けの奨学金もあります。あるコスチューム会社は、ハロウィーンに使う「カボチャの彫刻」を一番上手に作った学生に500ドル(約5万9000円)を授与するそうです。
6歳から12歳の子どもだけが出場できるピーナッツバター会社Jif主催の「創造的なサンドイッチ」コンテストでは、1位になった子に2万5000ドル(約295万円)の奨学金と、ピーナツバターの詰め合わせが贈られます。
「なぜ5という数字が重要なのか」という250語以内のエッセイを書いた学生に1500ドル(約17万7000円)が贈られる奨学金も。「牛飼い」に1000ドル(約11万8千円)、「ジャガイモの研究者」に1万ドル(約118万円)など、応募者数が限られそうな奨学金もあります。
入ってしまえばのんびりできる日本の大学生とは違い、米国の学生は勉強しないと卒業できません。その代わり「機会の平等」を重んじる米国らしく、入学時にはこのような奨学金のように、さまざまな理由をつけて学生を支援するメニューがあるわけです。
たぶん同じことを日本でやると、「背が低いだけで奨学金が出るなんて不公平だ!」と文句がつくのでしょう。ちなみに米国の大学は中退率も世界一で、ハーバード大学中退で有名なビル・ゲイツも、「退学者は、普通は大成しないから、大学だけはしっかり出ておいた方がいい」と言っているそうです。私たちには皮肉に聞こえますが…。
(参考)11 Of The Weirdest Scholarships Students Can Get (Business Insider)
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