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飛行機レース世界選手権『レッドブル・エアレース』ついに日本開催!グッスマも協力

2014年11月27日 14:01  おたくま経済新聞

おたくま経済新聞

飛行機レース世界選手権『レッドブル・エアレース』ついに日本開催!グッスマも協力

11月26日、千葉・幕張のホテルで素晴らしい発表がなされました。レッドブル・エアレースが来年(2015年)5月16・17の両日、千葉市の幕張海浜公園で開催されることになったのです。


【元の記事はこちら】


レッドブル・エアレース(Red Bull Air Race World Championship)は、FAI(国際航空連盟)公認の飛行機レース世界選手権。松田未来さんのコミック『SWIFT!』などでよく知られたアメリカのリノ・エアレースは、複数の機体が周回コースを飛びながら順位を競う、自動車でいうところの「インディカーレース」に近いものですが、レッドブル・エアレースは、自動車に例えるなら「ジムカーナ」競技。「エアゲート」と呼ばれる、空気で膨らませた高さ25mのパイロンで設定されたコースを単独で飛行し、そのタイムを競うものです。最初のレースは2003年に開催され、2005年シーズンより世界選手権となりました。


ルールは非常に厳密で、過酷なもの。スタートゲート通過時は200ノット(約370km/h)以下という速度制限が付けられており、各ゲート通過時は定められた高度域で、しかも定められた姿勢でなければなりません。飛行中、機体やパイロットにかかる荷重は、ジェット戦闘機を上回る最大10G。スピードはもちろん、きわめて高度な操縦テクニックが要求されるレースなのです。


参加しているパイロットは、スーパーライセンスを交付された曲技飛行のディスプレイパイロット達。キャリアは様々で、現役のエアラインパイロットや、元戦闘機パイロットなども。いずれも高度な操縦技量を持っています。日本からはアジア人唯一、室屋義秀選手が2009年から参戦しています。


百聞は一見にしかずなので、実際のレースを見てもらいましょう。(動画:http://youtu.be/GhsbnFW5qNc)
今年(2014年)8月の第5戦、イギリス王室が所有するアスコット競馬場(6月の「ロイヤル・アスコット」開催で有名)で行われたレースです。内馬場から飛行機が飛び立ち、コースを飛び回る様は驚きの一言。


2003年の創設時から注目していた筆者(当時はユルギス・カイリス選手とカービー・チャンブリス選手、ポール・ボノム選手のファン)としては、いつか日本で開催して欲しいと思っていたので、非常に嬉しいニュースでした。


熊谷俊人・千葉市長によると、水面下で開催の打診があったのは昨年(2013年)だったとのこと。2014年に入って正式な話があり、ぜひ開催しようと各職員を鼓舞して、この日の発表会を迎えたそうです。初当選時に史上最年少の市長として話題になり、2期目の今も30代半ばという若さが、開催推進のエネルギーになったのかもしれません。記者発表では、1912(明治45)年、奈良原三次によって千葉市稲毛に開設された、日本初の民間飛行場にも言及していました。


千葉大会は実行委員会方式で開催されます。名誉会長は熊谷市長、そして大会エクゼクティブプロデューサーはグッドスマイルカンパニーの安藝貴範社長、シニアプロデューサーをローソンHMVエンタテイメントの坂本健社長が務めます。


「ねんどろいど」や「figma」シリーズで知られるグッドスマイルカンパニーですが、モータースポーツの分野でも「グッドスマイルレーシング」として片山右京監督のもと、初音ミク仕様のBMW Z4でSUPER GTシリーズに参戦、2014年はGT300クラスでシリーズチャンピオンに輝きました。空を翔ける「世界最速のモータースポーツ」であるレッドブル・エアレースにも協力、ということですね。


会場となる幕張海浜公園は、プロ野球千葉ロッテマリーンズの本拠地、QVCマリンフィールド(千葉マリンスタジアム)を含む長大な人工海浜が広がる公園。千葉市民花火大会「幕張ビーチ花火フェスタ」の会場でもあります。ここは南風卓越時における羽田空港への到着便進入経路に当たり、また近傍に飛行場がない為、レース時には参加機の離着陸場を臨時に設ける必要が考えられますが、現在国土交通省航空局と調整中とのことで詳細は明らかにされませんでした。しかし、レッドブル・エアレースのエリック・ウルフCEOによれば、第1回の交渉において当局の感触は良好だったとのこと。交渉が進み、詳細が固まれば公表されるとのことなので、発表を待ちたいところです。


これに合わせて、2015年シーズンのシーズンスケジュールが発表されました。2015年は全8戦で争われます。初開催となるのは千葉・幕張の他、冬季オリンピックが行われたロシアのソチ。


第1戦 アブダビ(UAE) 2月13日・14日
第2戦 千葉市(日本) 5月16日・17日
第3戦 ソチ(ロシア) 5月30日・31日(※日程調整中)
第4戦 ブダペスト(ハンガリー) 7月4日・5日
第5戦 アスコット競馬場(イギリス) 8月15日・16日
第6戦 スピルバーグ(オーストリア) 9月5日・6日
第7戦 フォートワース・テキサス(アメリカ) 9月26日・27日
第8戦 ラスベガス(アメリカ) 10月17日・18日


また、これに合わせて現在12人で争われているレースが、新たに2人の選手を加え、14人で行われることが発表されました。誰が加わるかは明らかにされませんでしたが、下部レースである「チャレンジャーカップ」の上位ランク6名(チェコのペテル・コプフシュタイン選手、マレーシアのハリム・オスマン選手、フランスのミカエル・ブラジョー選手とフランシス・レ・ヴォー選手、スウェーデンのダニエル・ライファ選手、イギリスのトム・ベネット選手)から選ばれる可能性が高そうです。ハリム・オスマン選手の参戦が実現すれば、室屋選手に続きアジアで2人目のレッドブル・エアレーサー誕生ですね。


また、11月28日からオフィシャルサイトにて、チケットの先行発売が始まります。2015年1月5日からはローソンチケットでも先行発売開始。一般発売は2015年3月1日開始予定です。
ついにレッドブル・エアレースが日本に、という印象の今回の発表。今から来年が楽しみです。


(取材:咲村珠樹)