アブダビGPが終了したばかりのヤス・マリーナ・サーキットで、今年最後の合同テストがスタートしたのである。参加チームは、2日前までアブダビGPに参加していた9チームで、その中には3戦ぶりに最終戦に復帰して、小林可夢偉ともに最終戦を締めくくったケータハムの姿もあった。
ケータハムのステアリングを握ったのは、アブダビGPで可夢偉のチームメートとしてデビューしたウィル・スティーブンスだ。ケータハムのジャンルカ・ピサネロ(ヘッド・オブ・エンジニアリング・オペレーション)は「ウィルの経験を積み重ねるために、できる限り周回数を重ねるのがこのテストの目的」と語り、目標していた100周以上を走り込んだ。
そして、注目すべきはそのタイム。ベストタイムの1分45秒436はロータス(シャルル・ピック)、ザウバー(マーカス・エリクソン)、トロ・ロッソ(マックス・フェルスタッペン)を上回る6番手。ピサネロも、「7月のシルバーストン・テストよりも格段に良くなっている」と称賛していた。
もうひとり、イキの良い走りを披露していたのが、フォース・インディアのマシンをドライブした2014年のGP2チャンピオン、ジョリオン・パーマーだ。
「今回が初めてのF1走行とは思えないほど、落ち着いて正確にドライブしていた。GP2のマシンとはダウンフォースもパワーユニットも違うので、相当大変だったと思う。しかも、今日ウチはトラブルで何度か止まって、満足に走り込めていない中、メルセデスAMGのニコに1000分4秒というのは、上出来でしょう」と、羽賀晃生エンジニアが絶賛していた。
ちなみに今回のテストには、2015年用タイヤも持ち込まれている。ビレリは2015年に新しいリヤタイヤを投入予定で、そのプロトタイプがこの合同テストに投入されているのだ。ビレリでレーシングマネージャーを務めるマリオ・イゾラは「新しい2015年用のリヤタイヤは、コーナーの立ち上がりでトラクションがかかりやすくなるように、コンストラクション(構造)が変更されている」と説明。多くのチームが様々なタイヤを履き替えてデータ取りに集中していた。
なお、2015年用タイヤは各チーム、2日間で最大10セット使用できることになっており、コンパウンドの内訳はミディアム4セット+ソフト4セット+スーパーソフト2セットとなっている。このうち、スーパーソフトだけはコンパウンドも新しくなっている。
(尾張正博)