メルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフは、F1最終戦アブダビGPの結果に安堵している一方で、多少ほろ苦い思いがあると語った。
メルセデスは、今シーズン最終戦のアブダビで選手権リーダーのルイス・ハミルトンが優勝でタイトルを決めたものの、逆転チャンピオンを狙ったニコ・ロズベルグはマシントラブルに見舞われため、ふたりのドライバーを最後まで戦わせることができなかった。
ERS(エネルギー回生システム)にトラブルを抱えたロズベルグは、中盤以降も次々にポジションを落としトップ10圏外まで脱落。それでも彼は、チームのリタイア指示を拒んで最後まで走り抜いた。14位でチェッカーを受けたロズベルグは、レース後に自らハミルトンのもとへ歩み寄り、チャンピオンを祝福した。
戦前から、トラブルによる王座決定だけは避けたかったメルセデスだが、チームボスのウォルフは、ロズベルグを多少なりとも失望させたと感じている。
「最後の1時間は(トラブルが起きて)本当に厳しかったから、今はホッとしている」とウォルフ。
「チャンピオンシップには勝っていたが、ふたりのドライバーを公平にバランスよく扱うことは難しいと分かっていた。でも今は、終わってホッとしている」
「ただ、ほろ苦い思いもある」
「つらいのは、ふたりが最後までマシンを信頼して戦い抜くことができるよう、我々も懸命に働いてきたということだ」
「ニコのマシンにトラブルが起きたという事実はつらいし、彼を少し失望させてしまっただろう」
「ただ、合理的な観点から言えば、ニコが完璧なスタートを切れなかった時点ですでに(レースは)難しいものになっていた」
その一方でウォルフは、最終戦を前に10勝を挙げ、選手権リーダーとして決勝レースをリードしていたハミルトンがトラブルに襲われれば、それはもはや許容できるレベルではなかっただろうと語っている。