2014年11月24日 12:51 弁護士ドットコム
親族が亡くなったとき一定以上の財産を相続すると「相続税」がかかってくる。来年1月からは、基礎控除の枠が大幅に縮小されるため、これまで「相続税なんて関係ない」と考えていた人にも影響があるといわれている。相続税の仕組みは、具体的にどう変わるのだろうか。また、どんな節税対策があるのだろうか。菊川敬規税理士に聞いた。
【関連記事:「親の収入」に頼る「非正規社員」の若者たち――この現実から抜け出す方法はあるか?】
「やはり、一番大きな変更点は、基礎控除の枠が大幅に縮小されることです。
たとえば、財産の相続人が1人の場合、これまでは相続財産が6000万円以上ないと課税されませんでした。しかし来年1月以降は、相続財産が3600万円以上あると課税されるようになるのです」
どれくらいインパクトがあることなのだろうか。
「東京国税局管内の相続税の申告対象者割合は、18%から39%に上昇するといわれています。首都圏近郊に一戸建てなど不動産を持つ人のほとんどが、相続税の課税対象になると考えておいたほうが無難でしょう」
庶民としては、少しでも税の負担が少ないほうがいい。どのような対策があるのだろうか。
「相続税対策としては、生前贈与がオススメです。贈与は、一人あたり年間110万円まで非課税でおこなうことができます。年間110万円だったとしても、10年間続ければ1100万にもなるので、将来、その分の相続税の節約につながるでしょう」
また、年間110万円を超える額でも、想定される相続税率より低い贈与税率であるならば、贈与が有効な手段となるケースがあります。
ほかにも、信託制度を活用したり、生命保険を活用する方法や様々な対策があります。いずれの方法も手続きを間違えると失敗しますので、実行する前は税理士などの専門家に相談したほうがよいでしょう」
菊川税理士はこのようにアドバイスしていた。
これまで相続税対策なんて考えてこなかった人も、今回の制度改正を機会に調べたり、くわしい人に相談したりすると、自分にとってベストな節税方法がみつかるかもしれない。
【取材協力税理士】
菊川 敬規(きくかわ・よしのり)税理士
行政書士、宅地建物取引主任者、FP技能士。福岡県大牟田市出身、「みなとみらい起業家交流会」主宰、東京・赤坂で開業して14年。起業支援と相続、税務調査対応に注力している。弁護士である妻とともに経営者を税務・法務の面から支援している。
事務所名 : 菊川税務会計事務所、有明法務事務所、(有)有明会計事務センター
事務所URL:http://www.ariakecf.co.jp
(弁護士ドットコムニュース)