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GP2アブダビ・レース1:抜けないスリップストリーム

2014年11月24日 06:00  AUTOSPORT web

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GP2レース後の表彰式に出席した、佐藤公哉(左)と伊沢拓也(右)。GP2のロゴが入ったサングラスをかけているのは、ふざけているわけではなく、表彰式のパス代わりだったからである。
2014年のGP2最終レース、アブダビ・ラウンドのレース2は、2番グリッドからスタートしたステファノ・コレッティ(レーシング・エンジニアリング)が優勝、2位にはフェリペ・ナスール(カーリン)が入った。伊沢拓也(ATR)は10位、佐藤公哉(カンポス)は22位でフィニッシュしている。

 日曜日の14時半からスタートしたレース2。コレッティが絶好のスタートを決め、ポールポジションのアルサー・ピック(カンポス)を1コーナーまでに攻略。5番グリッドのナスールも好スタートで、一気に2番手までジャンプアップする。

 後方では14番手スタートの佐藤公哉がストール。一度はエンジンが止まりかけたものの、なんとか復活し、隊列に取り付いた。しかし、ほぼ最後尾まで落ちてしまう。このストールは佐藤曰く自らのクラッチ操作ミスとのことだ。

 今季のチャンピオンを決めているジョリオン・パーマー(DAMS)が、ミッチー・エバンス(ロシアンタイム)と1周目に接触。早々にリタイアを喫してしまう。また、ダニエル・デ・ロング(MP)も、早々にクルマを止めてしまう。その上リオ・ハリャント(ケータハム)も後退したことで、伊沢はレース序盤に10番手へジャンプ。前日目標として挙げていた「入賞圏内」に近づく。

 しかし、ここからが容易ではなかった。伊沢は9番手のセルジオ・カナマサス(トライデント)の直後に付けるものの、スリップストリームに入っても抜けない。これはどのマシンでも同じ傾向にあり、2周目以降は膠着状態となる。佐藤も同様にマルコ・ソレンセン(MP)を抜くことができず、22番手をキープしたまま走行する。

 レースが動き始めるのは16周目。タイヤを使い切ってしまうマシンが徐々に現れ始める。伊沢もそのうちの1台で、カナマサスを攻めている間にタイヤの劣化が進み、今度は次第に離されてしまう。それまで4番手を走っていたジョニー・チェコット(トライデント)が18周目にステファン・リチェルミ(DAMS)、19周目にエバンス、20周目にストフェル・バンドーン(ART)に抜かれ、7位に落ちてしまう。

 結局、伊沢は最初のポジションのまま、10位でフィニッシュ。最終戦を入賞で飾ることは、あと一歩のところでできなかった。

「そんなにタイヤに厳しいサーキットというわけではないけど、最後はついていくだけのペースがなくなってしまいました。スリップを使えなかったというか、ギヤレシオを結構長めにしてきちゃったんで、最後は伸びきれなかったです」と伊沢。

 佐藤は「今シーズン一番悪いスタートをしてしまった。スリップが効かないレースでしたね。いつもはめっちゃ効くんですけど……。まぁ、エキゾーストが割れてたり、シフトダウンに問題があったのが影響しているのかもしれないですけど。昨日とは違って昼間のセッションだったので、タイヤには非常に厳しかった。オーバーヒートというか、温度が上がりすぎてしまう状況でした」と、その状況を語ってくれた。

 これで2014年のGP2は終了。伊沢は26ポイント獲得のランキング18位、佐藤は2ポイント獲得で27位だった。

 夜にはGP3と合同で表彰式が行われ、トップ3のドライバーとチームなどにトロフィーが送られた。なお、今週の木曜日から3日間の予定で、GP2のテストがヤス・マリーナ・サーキットで行われる予定だ。
(F1Sokuho)