2014年11月23日 12:51 弁護士ドットコム
ツイッターに投稿された「児童ポルノ画像」をリツイート(転載)したとして、横浜市の男性と大阪府の男性が11月21日、児童ポルノ法違反(公然陳列)などの疑いで横浜地検に書類送検された。
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報道によると、画像は横浜市の男性が今年3月、ツイッター上に投稿して、さらに別のアカウントでリツイートしたものだ。大阪府の男性は同月、この画像をリツイートし、不特定多数に見せた疑いが持たれている。また、同じ画像をリツイートした関東の中学生も、同法違反の非行事実で児童相談所に通告された。
ツイッターに投稿された児童ポルノ画像をリツイートした人が摘発されるのは、全国初とされている。報道を受けて、ネット上では「リツイートでアウトなのか」「投稿した人だけじゃないのか」といった声も見られる。今回のケースは、なぜアウトになってしまったのだろうか。児童ポルノ法にくわしい奥村徹弁護士に聞いた。
「児童ポルノを、不特定または多数の者に提供したり、公然と陳列すると処罰されます(児童ポルノ法7条6項)。ここでいう『公然と陳列』とは、不特定または多数の者が閲覧できる状態に置くことです」
奥村弁護士はまず、このように解説する。ツイッターに「児童ポルノ画像」を投稿する行為も、処罰されるのだろうか。
「ツイッターに画像を投稿する場合、画像専用サーバにアップロードして、そのURLをメッセージ末尾に添付するという仕組みでおこなわれています。閲覧する端末には、メッセージとともに画像も表示されます。
このように画像を表示させることも『陳列』にあたるので、児童ポルノ画像をツイッターに投稿すると処罰されます」
問題になっているリツイートとは、ほかの誰かのツイートを転載(再投稿)することで、リツイートした人のフォロワーに元ツイートを共有できる機能だ。リツイートが繰り返されることで情報が拡散する。リツイートも「陳列」にあたるということだろうか。
「私も弁護人として参加した裁判のケースですが、『他人がサーバに置いた児童ポルノ画像のURLを一部改変した上で配布する行為は公然陳列にあたる』とされています(最高裁決定・平成24年7月9日)。つまり、URLを配布する行為も、画像をアップロードした者と同罪だ、というのが判例です。
今回のように『画像付きツイート』をリツイートした場合、画像のURLを含む元ツイートが再投稿されて、閲覧した人に『元ツイートに添付された画像』が表示されます。
したがって、この判例にしたがえば、他人がツイッターに投稿した『児童ポルノ画像』をリツイートすると、URLを配布する行為とみなされて違法行為となります」
今回のケースでは、大阪府の男性と横浜市の男性はそれぞれ書類送検されたが、今後、「児童ポルノ画像」をリツイートしたとして、逮捕されることもあるのだろうか。
「そうですね。リツイートで逮捕されても、驚くことではなくなるでしょう。
そもそも、インターネット上で児童ポルノ画像を流布させる行為は、被害児童にとって、範囲の面でも、継続性の面でも予想外に大きな被害になります。児童ポルノ罪の起訴猶予率は低いので、軽い気持ちで数枚を陳列した場合でも、捜査機関に発覚すれば、かなりの確率で立件されます。
また、来年7月15日以降は、児童ポルノ画像を所持しているだけでも犯罪になりますので、くれぐれも気をつけて下さい」
奥村弁護士はこのように警鐘を鳴らしていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
奥村 徹(おくむら・とおる)弁護士
大阪弁護士会。大阪弁護士会刑事弁護委員。日本刑法学会、法とコンピューター学会、情報ネットワーク法学会、安心ネットづくり促進協議会特別会員。
事務所名:奥村&田中法律事務所
事務所URL:http://www.okumura-tanaka-law.com/www/top.htm