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可夢偉の木曜:「これが最後になっても後悔しないレースをしたい」

2014年11月21日 01:50  AUTOSPORT web

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アブダビにて、出走への経緯を語る小林可夢偉
日本時間で今週月曜の午前中、突如F1アブダビGPへの参戦が発表された小林可夢偉。ヤス・マリーナ・サーキットには木曜から元気な姿を見せた。

 出走が本人に伝えられたのも日本時間の月曜朝だったと可夢偉は言う。

「もてぎのスーパーGTから帰ってきて、次の日の朝起きたら『チームは走るみたいだけど、走る?』と聞かれたので、『走る』と即決で返事しました。『お金は払わなくていいの?』と、すぐに尋ねましたけどね。払わなくて良いと聞いて安心しました」

 しかしロシアGPで、可夢偉は「チームメイトと同等かそれ以上の体制じゃないと、もう走らない」と言っていたとも伝えられている。確かに、今回のマシンのパッケージ自体はロシアGPでマーカス・エリクソンが乗っていたものと同等だが、チームのスタッフ体制は縮小されている。いつものレースエンジニアは不在(彼の場合はチームの財政問題とは別に、自身の子供が生まれるためレース帯同を辞退したという)で、ファクトリーにもシミュレーションのスタッフはいない。つまり、体制的には、これまで以上に悪いとも言える。

 そんな状況にも関わらず、可夢偉はなぜ出走を決意したのか?

「色々な状況を考えると、来年F1でレースするのは難しいと思います。来年レースできないということは、もしかしたらこれが僕にとって最後のF1のレースになるかもしれない。ならば、最後に思う存分レースをしておくべきかなと思ったわけです」

「もちろん来年も乗れるように全力は尽くしますけど、現状は甘くないです。でも、もし二度とF1でレースができなくても、後悔しないレースをしたいと思って、ここへ来ました」

 可夢偉が「思う存分」レースできることを期待したいが、パッケージは今年一番とは言え、現実はそう簡単ではない。

「思う存分っていっても、それは自己満足ですからね。これがベストのクルマだったら勝ちを目指すしかないけど、グリッドで一番遅いクルマですから。でも、これで1台くらいは負かしたいですね。マルシャがいないので、かなり厳しいですけど」

 可夢偉のF1でのレースは、これで最後となってしまうのか、それとも続きがあるのか、まだわからない。とにかく、明日から開幕するアブダビGPは可夢偉がいま持てるすべての力を発揮するレースになるはずだ。みなさんの目に、ぜひ焼き付けてほしい。