政府・経済界・労働界の代表者からなる「政労使会議」が2014年11月19日、首相官邸で開催された。席上、安倍晋三首相は、経済の好循環を実現するために、経済界に対して2年連続の賃上げを求めた。
厚生労働省が18日に発表した2014年9月の毎月勤労統計調査によると、現金給与総額(1人平均)は前年同月比0.7%増の26万6328円で、7カ月連続で増加。しかし物価変動の影響を加味した「実質賃金指数」は前年同月比3.0%減で、15か月連続の減少となっていた。
経団連会長は「受け入れ」の方針表明
同会議に先立ち甘利明経済再生担当大臣は、17日に自らのウェブサイトでデフレ脱却政策や消費税引き上げの影響で物価高が進む一方で、物価高に賃金が追い付いていかないため「実質賃金のマイナス」が起きていることを認めた。
そのうえで、消費者が生活防衛に走らないよう「連続した賃上げ」をするために、「企業業績の改善が賃金改善に繋がり、それがさらなる企業業績へと繋がっていく『好循環』」を起こしていく必要性を強調していた。
政労使会議でも安部首相は、円安株高などで高収益となった輸出型の大企業に対し、賃金の引き上げなど「積極的な対応」を求めた。
「賃金が上がっていくという展望を示せれば、好循環の二巡目は大きく前進をしていく。賃金が上昇していく環境を作ることを、国民に約束した」
さらに連合の古賀伸明会長は、大企業だけでなく「地域の中小企業」や「非正規労働者」を含めた賃金の底上げが重要だと釘を刺した。日本経団連の榊原会長は会議後、
「会員企業にきっちりと賃上げに向けた環境の醸成を図っていきたい」
と、来春の賃上げは必要だとの認識を示している。
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