就職活動では「ストレス耐性を見るため」と称して、面接担当者が学生にわざとキツい態度をとる「圧迫面接」がいまだに行われているという。就活生からしてみれば、たまったものではないが、普段から慣れておけば気にならなくなるのかもしれない。
圧迫面接への「耐性」をつけておきたい就活生に、ピッタリのスマホアプリが登場している。タイトルは「圧迫面接を突破!」。就活生に不快な態度を取る面接担当者のイラストと音声に合わせて、面接の練習ができるという趣旨だ。
「1秒でも遅刻は遅刻だ! 土下座しろ!」
アプリのメニューには4つの難度があり、「初級編」を選択すると面接担当者の顔は穏やかだ。「その志望動機だと弱いですね」と言ってくるぐらいで、若干厳しいかな、という印象だが、否定され慣れない人には使えるかもしれない。
これが「中級編」になると、一気に圧迫度が増す。「え? なに座ってんの? 立ったままで自己紹介してください」と、冒頭からキツイ言葉が飛ぶ。
「そんな自己紹介で、就職活動とかなめてるの? 言い訳は結構です」
「君みたいな人材は、どこも採用してくれないよ」
さらに上級編になると、ほとんど恫喝状態になり、面接どころではない。「1秒でも遅刻は遅刻だ! もういい! 土下座しろ!」と怒鳴られっぱなしである。説明によると、これらの設定は、実際の企業の面接を参考にしているそうだ。
製作者の見村和孝さんが、このアプリを使って圧迫面接の練習をする動画をYouTubeにアップしている。難易度は「超上級編」だ。険しい表情をしたアプリの面接担当者に「この履歴書さ、字汚いんだけど」と言われ、見村さんが「すみません」と謝る。その後はだいたいこんな感じだ。
「うちに入って10年、20年後どうなってたいの?」
(はい、私は責任ある……)
「お前には無理だわ。じゃあ残業とかさ、土日出勤とかできるの?」
(働くからには死ぬ気で頑張りたいと思います)
「口だけは達者だな」
どんなひどい質問にも「怒ってはいけません」
圧迫面接の練習用としては、「圧迫面接!一問一答!」(製作:Shinya Watanabe)という有料アプリもある(200円)。面接官の質問が音声で流れるほか、「解説」ボタンを押すと、対応のアドバイスをくれるので実践的だ。例えば、「君みたいな人、いらないんだよね?」という質問についてはこう解説している。
「あなたを怒らせる事で動揺させ、どのような対応をできるかを見ています。まずは怒らず落ち着いてください」
その上で、自分の非力な部分を認め、志望動機で熱意を伝えればいいとする。圧迫面接では、どんなにひどい質問をされても感情的にならない、というのがポイントのようだ。「その顔で付き合っている人いるの?」という質問についても、
「失礼な質問ですね。しかし、怒ってはいけません、一途な所や熱心に打ち込む姿など、顔でない違った部分に魅力があることを伝えましょう」
と推奨する。もはや修行のようではないか。アプリではほかにも、
「君みたいな学歴でよくうちを受けたよね」「元気が感じられませんが?」
「頑張ると言いますが、あなたからそれが伝わってきません。どう頑張るのですか」
など、40の圧迫質問について解説。実際にこのアプリを圧迫面接の練習に使っている人もいるようで、Appストアのレビュー欄には「自主練にはいい!」「音声が入っているのでリアルでよかった」という感想が寄せられていた。
「圧迫」LINEスタンプも登場
こうした理不尽に厳しい圧迫面接はネタにしやすいようで、LINEでは「圧迫面接、はじめました。」(製作:ヒロキ アベ)というスタンプも販売されている。険しい顔をした面接官のイラストとともに、きつい言葉が書かれている、というものだ。
「何故それを聞くのですか?」「あっ今なんて言った?」
「そういうとこが『ゆとり』なんだよ」「学生気分だな~」
「よくわかりませんね」「証拠は?」
用途としては、会話の中でアクセントとして使う、という感じだろうか。ただ、人によっては突然圧迫スタンプを送られると、びっくりしてしまうかも知れない。送った後はフォロー忘れずに。
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