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F3マカオグランプリはロゼンクビストが制す。日本勢は山下が9位に

2014年11月16日 22:50  AUTOSPORT web

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F3マカオグランプリの表彰台
マカオグランプリのF3レースは16日、15周の予選レースが行われ、フェリックス・ロゼンクビスト(ミュッケ)が優勝。ルーカス・アウアー(ミュッケ)が2位となった。日本勢では山下健太(トムス)が9位フィニッシュとなった。

 第61回マカオGPのF3は好天に恵まれた11月16日(日)、午後3時30分過ぎより15周の決勝レースが実施された。レッドシグナル消灯後、位置取りを巡って左右に動き合い、スリップストリームを使い合いながら、2番グリッドのルーカス・アウアー(ミュッケ)、3番グリッドのトム・ブロンクビスト(カーリン)、4番グリッドのエステバン・オコン(プレマ)、ポールポジションのフェリックス・ロゼンクビスト(ミュッケ)の順でなだれ込んだ1周目の右90度コーナー、リスボアベンド。

 まず、オコンとブロンクビストが接触しながらリスボアを通過。オーバーシュート気味にリスボアへ進入して失速したアウアーがこれを追い、4番手へ落ちたロゼンクビストはサンフランシスコベンドまでの短い距離で失速したアウアーを抜いて3番手へ浮上。その直後、トップを争うオコンとブロンクビストの2台がサンフランシスコで絡んでタイヤバリアへ激しく突っ込んだ。

 この事故で後続は大混乱。ロゼンクビスト、アウアー、ロベルト・メリ(ダブルR)、ニック・キャシディ(スリーボンドwith Tスポーツ)などは現場を無事に通過するも、金丸悠(カーリン)は急減速したジョーダン・キング(カーリン)のクルマが発射台のようになり、サンフランシスコのタイヤバリアに乗り上げた。幸い、金丸にケガはなかった。しかし、この多重事故でレースは赤旗中断。事故現場からグリッドへ戻ってきても、大なり小なりダメージを負ったクルマは10台を超え、修復が間に合わなかったりピットスタートを強いられたりするドライバーもあった。

 赤旗から約35分後、オリジナルグリッドどおりに並べられた各車はセーフティカー(SC)先導でスタート。1周でSCは退去し、3周目からレースは再び火ぶたが切られた。リスボア進入ではアウアーとロゼンクビストのブレーキング競争となり、再びオーバーショート気味になったアウアーが失速。ロゼンクビストを先頭に、キャシディ、アウアー、メリ、ニコラス・ラティフィ(プレマ)、ステファノ・コレッティ(ユーロオインターナショナル)がトップ6を形成して周回を重ねていった。

 ロゼンクビストは山側でタイムを稼いで2番手のキャシディを引き離し、3、4秒差をつけたところでペースをコントロール。一方、3番手のアウアーはペースこそ速いもののキャシディ攻略に時間を要した。13周目のリスボア進入でいったんはキャシディを抜くも、三度のオーバーシュートによる失速でキャシディを抜ききれない。

 ようやく山側で攻略してアウアーは2番手に上がるもすでに時遅しで、約5.5秒まで開いたロゼンクビストとの差を約4.3秒まで詰めるので精一杯だった。優勝はロゼンクビスト、2位はアウアー。3位のキャシディは最後、メリとラフィティに詰め寄られるもしのぎって表彰台の最後の一角に立った。また、予選レースの事故&リタイアで決勝レースを24番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペン(ファン・アメルスフールト)は、来季のF1昇格が伊達ではないことを証明するように、猛烈な追い上げで7位まで挽回した。

「僕のレースキャリアで最も素晴らしい日となった。マカオGPは僕が常に勝ちたいと思っていたレース。それをいま成し遂げた。じつのところ僕は、今日のレースで何が起こっていたのかさえよく覚えていない。このイベントは複雑で、セーフティカーあり、スリップストリームあり、渋滞ありといった具合で、たったひとつのレース。素晴らしいクルマを用意してくれたチームにとても感謝している。今夜はささやかなパーティを開くと思う」とロゼンクビストは喜びを語った。

 日本勢では山下健太(トムス)の9位が最高位。「シングルフィニッシュでしたが前が消えただけで、9位という順位には満足できません。レースでは前に離されたし、終盤には後ろに追い付かれたし、足りない速さは今後の課題です。いまはマカオを経験して良かったと思っています。来年、マカオへ再び来られるならぜひリベンジしたいですね」と山下は今年のマカオの経験を自分の糧にするつもりだ。

 高星明誠(B-MAX)は18位。「レース序盤はまったく自分のペースで走れませんでした。後ろと大きな差があっても、リスボアで追いつかれて抜かれてしまいリズムを崩しました。それでもレース後半はなんとか自分のペースで走れて、リズムを作れました。もうマカオには来ません。いや、冗談です(笑)。この結果は悔しいので、チャンスがあれば来年もう一度マカオに挑戦したい。このふがいない結果で貼られた変なレッテルをはがすために、ここへ来たいですね」と高星は雪辱を誓った。

 金丸は前述のとおり事故でリタイア。「スタートはあまりよくありませんでしたが、リスボアでは良いブレーキングもできてトップ10以内に入れました。でも、次のサンフランシスコで事故が発生して、目の前にいたチームメイトの急ブレーキに反応したり避けたりできず、何もできぬまま乗り上げて飛んでしまいました。良いペースで走れていたはずですし、普通にレースを終えていればトップ10は確実でした。ここで自分をアピールして、来季のFIA F3ユーロ参戦を目指していたのですが……」と金丸は悔しさを隠さなかった。