マカオグランプリのF3レースは15日、10周の予選レースが行われ、フェリックス・ロゼンクビスト(ミュッケ)が優勝。ルーカス・アウアー(ミュッケ)が2位となった。日本勢では金丸悠(カーリン)が13位とポジションを上げフィニッシュ。山下健太(トムス)が14位となった。
第61回マカオGPのF3は好天に恵まれた11月15日(土)、午後2時40分過ぎより10周の予選レースが実施された。レッドライト消灯までがやや長めで、11番グリッドのマーカス・ポマー(モトパーク)がエンジンストールで発進に手間取る場面はあったものの、大きな事故も無く予選レースはスタートした。中位集団以降でクルマ同士の軽い接触やバリアへの接触こそあったとはいえ、上位集団は高速の第1コーナーからマンダリンを順調に通過。そして、実質的な第1コーナーである低速のリスボアベンドへとなだれ込んだ。
先頭で山側へ駆け込んでまず優位を築いたのは2番グリッドのルーカス・アウアー(ミュッケ)。これに5番グリッドのマックス・フェルスタッペン(ファン・アメルスフールト)、ポールシッターのフェリックス・ロゼンクビスト(ミュッケ)、3番グリッドのトム・ブロンクビスト(カーリン)、4番グリッドのエステバン・オコン(プレマ)、10番グリッドのロベルト・メリ(ダブルアール)と続いてトップ6を形成した。
ポールポジションから3番手へ落ちたロゼンクビストは、先行するフェルスタッペンに2周目、3周目とリスボアベンドでブレーキング勝負を挑むも抜けず。しかし、ベテランのプレッシャーに負けたのか4周目の山側でフェルスタッペンが単独クラッシュ。左フロントにひどいダメージを負った。フェルスタッペンは傷ついたクルマをなんとかピットガレージまで運んだものの、その場でリタイア。また、この事故から間もなく、山側のファラウェイと呼ばれる区間でサム・マックラウド(トムス)がクラッシュ。これでセーフティカー(SC)が導入された。
8周目にリスタートがきられると、2番手のロゼンクビストが先頭を行くチームメイト、アウアーに襲いかかってリスボアベンドで追い抜いた。ロゼンクビストは山側で激しくプッシュしてアウアーを引き離し、9周目に入るコントロールラインを横切ったときにはすでに約1.5秒も引き離していた。
先頭を守りきったロゼンクビストが優勝、2位はアウアー、3位はブロンクビスト。4位には7番グリッドからスタートしたニック・キャシディ(スリーボンドwith Tスポーツ)の猛攻をしのぎきったオコン、5位にはSC導入後のリスタートでメリを抜き去ったキャシディ、6位にメリ。
「僕の目標は明日の決勝レースで勝つこと。まず、それに向けて正しい一歩を踏み出し、ひとつのハードルを乗り越えたと言える。予選レースで僕は良いスタートをきったけれど、予想の範囲内とはいえ第1コーナーで追い抜かれて、その後は反撃に移らなくてはならなくなった」とロゼンクビスト。
「今日は何度もタイヤのロックに苦しんだけれど、クルマの良いセットアップを見つけている。クルマには本当に自信がある。ここで勝つためのペースがあることは、ファステストラップが証明している。しかし、マカオはやはりマカオ。明日は何でも起こる可能性がある。とはいえ、僕は勝利のために明日も最大限の努力を怠らない」
日本人ドライバーでは、19番グリッドからスタートした金丸の13位が最上位。「当初からの目標として、この予選レースを13位くらいで終えられれば、決勝レースでのトップ10入りも可能と思って戦いました。第1コーナーと第2コーナーの混乱をきれいに抜けられてポジションアップにつながりました。クルマの感じもドライビングの感じも、だんだん慣れてきているので日曜日の決勝レースはかなり良い形で迎えられると思います。プッシュしようと思えばタイムは出る感じなので不安はありません。運も味方につけて、自分のベストを尽くしてまずはトップ10を狙います」と金丸はリラックスした表情で語った。
23番グリッドからスタートした山下健太(トムス)は14位。「スタートは全日本F3でも最近は良くなってきていて、予選レースでもその調子を維持して良い感じでした。第1コーナーに入るまでに2台、リスボアベンドまでにブレーキングを含めて数台を抜きました。そのあとはペースが少し上がらないところもあり、ポジションキープで終わりました。セーフティカー後に追い抜きを狙っていたのですが抜けず、でもそのあとの走りでどうすれば良いかはなんとなく見えたので、明日の決勝レースはもう少し順位を上げたいと思います。今後のためにも明日はしっかり走ります」と山下は語り少しは自信を取り戻したようだ。
25番グリッドからスタートした高星明誠(B-MAX)は20位。「スタートは普通に決まりました。でも、第1コーナーで勢いよく弾かれて最後尾まで落ちてしまいました。そこからはクルマのフィーリングが悪くなってしまい、その原因として路面温度が高くなったせいなのか、それとも接触の影響なのか、そこはチームに調べてもらっている最中です。スタートの第1コーナーがやはり痛かったですね。接触の影響なのか、レース中のクルマの挙動はここまで走ってきた中でいちばん悪かったです。完走したとはいえ、ぜんぜんダメです。大きなダメージもなくゴールできましたが、あの接触がなければほかの日本人ドライバーと同じくらいの位置に行けていたと思う」と高星は悔しさをあらわにした。
なお、15周の決勝レースは16日(日)午後3時30分より実施される予定だ。
(Kojiro Ishii)