2014年11月14日 19:11 弁護士ドットコム
通信教育大手ベネッセコーポレーションの個人情報流出事件で、自分自身と子どもの情報が流出したとして、東京都内の金田万作弁護士がベネッセに対する訴訟を11月末に起こすと、自身のブログで宣言した。それと同時に、訴状のひな形を公開して、「訴訟を提起したいという方がいらっしゃれば,ご自由にお使い下さい」と記している。
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今年7月に発覚したベネッセの個人情報流出事件では、推計約2895万件の情報が名簿業者に流出したと発表された。それに対する「お詫び」として、ベネッセは9月から、500円相当の金券・電子マネーを被害者に送っている。
金田弁護士は「個人情報流出については、1件当たり5000円から1万円という一応の相場があります。それなのに、お詫びが『500円の金券』ということに疑問を感じました」と、訴訟提起の理由を話している。
ただ、5000円や1万円の賠償で裁判を起こすのは、労力を考えるとわりにあわないような気がする。なぜ、裁判を起こすのだろうか?
金田弁護士は「こうした訴訟が起きることによって、個人情報を扱う事業者の管理体制がもっとしっかりしたものになるのではという期待があります」と説明する。
今回、ベネッセに対して、金田弁護士は11万円の慰謝料を請求するそうだ。「相場」よりも金額が大きいように思えるが、どういう内訳なのだろうか?
「内訳は、自分自身の個人情報の流出に対する慰謝料が1万円。あとの10万円は、私の子どもの個人情報流出についての金額です」
なぜ、子どもは金額が10倍なのだろうか?
「子どもの個人情報は、親にとっては特に保護したいものでしょう。また、いったん流出したら、一生の問題になります。実際、子どもの個人情報は大人のそれよりも高値で取引されています。そういった意味も込めて、請求金額を設定しました」
一方、自らが作った「訴状のひな形」をブログで公開したのは、どういう考えだろうか。
「この件について、一般の人が裁判をしたいと思っても、本格的に代理人を頼んで訴訟を起こすということになると、裁判所に認めてもらえる金額より、費用のほうがかかってしまう恐れがあります。私が作った訴状が参考になればと思いました」
金田弁護士のもとには、ブログを読んだ人たちから「自分も訴訟をやってみようと思う」といった反響が届いているようだ。
金田弁護士は、11月末に実際に訴訟を起こす予定だという。裁判の行方に注目が集まりそうだ。
(弁護士ドットコムニュース)