日本人の「幸福度」が先進国で最下位――。キャリコネニュースが11月9日に公開した記事は、ネット上で大きな話題となった。配信先のBLOGOSではフェイスブックの「いいね!」が1800近く、ニコニコニュースでも1400近いコメントが寄せられた。
読者の中には、「こんなに豊かな社会なのになぜ実感できないのか?」と首を傾げる人もいたが、その一方で「こんな国で幸福なんか感じられるはずがない!」と憤りをあらわにする人も少なくない。
バブル景気が「幸福度のハードル」上げたか
記事の元となった調査は、米ピューリサーチセンターによるもの。世界43か国の国民に対して「最も良い生活ができている場合」を10段階とし、「7以上」の満足度と回答した人の割合で「幸福度」を算出している。
この調査方法について、ネットユーザーからは日本人には不利だという指摘があがっている。明確な判断を避け、何に対しても「ふつう」「どちらでもない」と答える傾向にある日本人は、「5」と回答する人が多かったに違いないというわけだ。
「日本人なら10段階あったら5か6って答える人が多いと思うな。気質的に」
「日本人はこういうアンケートで控えめに回答することが多い。真ん中の5、6段目辺りの割合が高そう」
2014年の「幸福度」は、イスラエル75点、米国65点、ドイツ60点に対し、日本は43点。満足度7以上をつけた人が43%しかいなかったことを示している。元調査で「5」や「6」を選んだ人の割合は公表されていないが、「幸せ」だと答えないところに国民性が現れているのかもしれない。
また、国民がイメージしている「最も良い生活」のレベルがあまりに高すぎると指摘するコメントもある。バブル崩壊から25年近く経っても、狂乱の好景気の記憶を持っている人は、現状の豊かな状態に満足しにくいというわけだ。
「バブル景気って楽して稼げた時代が幸福度のハードル上げてると思う」
「日本人は欲張りすぎなんじゃないかとたまに思う」
諸悪の根源は「仕事」なのか?
理由はともかく、幸せのレベルを上げて不満ばかり漏らすコメントに、「これだけ揃っていて日本人は他に何を望む?」と苦言を呈す人たちもいる。ミュージシャンの石川浩司氏も、
「考え方を変えれば同じ条件でも幸せと感じられると思うのだけど経済優先概念やその宣伝に単純に乗っかって損してるんじゃないかな?。幸せなんてポッケにビー玉と一緒に入ってるものなのにな」
と、考え方の転換を提案している。「隣の芝生は青く見えるんだよ」というコメントもあるが、それは他の国も同じ条件だ。同質性が高い日本人は、他国に比べて嫉妬深いのだろうか。
さらには、「幸福と言ってしまうと堕落になる」「この調査結果からわかるのは、日本人の自己評価の厳しさだけ」など、禁欲的な文化が影響しているという人も。「日本人は不幸であることに幸せを感じるということなんだろうなw」と、被虐的な志向を指摘する人もいた。
もっとも、現実の生活の苛酷さを訴えるコメントも少なくない。目につくのは「仕事」や「労働」に関する、悲鳴のような言葉だった。
「仕事のために生かされてるような人生に幸福もクソもないだろうに」
「日本人ってプライベートより仕事大事って感じだし」
「仕事ツライ。金より平穏をくれ…」
「どう考えたって長時間労働のせい。しかも世界一正確さを要求される。みんな疲れ果てている」
「これ以上仕事盛らないで、休ませてくださいマジで」
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