一般的にOB・OG訪問は、選考直前の2月から3月ころに行うものとされています。確かにそのころに尻に火が着く気持ちは分かりますが、一方で多くの他の学生が動き始めるより前に済ませておくメリットも少なくありません。
就活を進める際には、早めに社会人慣れしておくことや、社会人から生きた情報を得ておくことは非常に大事ですし、ピークの時期を外すことで受け入れ側の社会人にも余裕ができます。OB・OG訪問は、年内に着手することをオススメします。(文・河合浩司)
基本的な情報収集を済ませ「質問」を準備していく
学生の訪問を受けたOB・OGは、基本的に学生を歓迎する人が多いでしょう。悩める若者の力になりたいという人も少なくありません。しかし、だからといってその好意に甘えて準備不足で訪れると、いくら優しい先輩でも表情を曇らせるに違いありません。
OB・OG訪問で外せないポイントは、2つあります。ひとつめは「必ずいくつかの質問を準備しておく」ことです。以前、学生から「ぜひとも一度会ってください」と連絡が来たのでお会いしたのですが、時間の使い方に困りました。
質問がほとんどなく、たまに聞かれることも「それは企業のウェブサイトに書いているだろう」と思うことばかり。逆にこちらが気を遣って次々と質問をし、話題を提供しなければならなかったほどです。
別れた後、後ろ姿を見送りながら「彼は今日何をしに来たのだろうか…」と不思議でなりませんでした。OB・OGに会えば、業界や仕事のことを懇切丁寧に教えてくれると思っていたのでしょうか。これは授業ではないのですから、まずは自分で下調べをして、疑問に思ったことを尋ねるということから始めてもらいたいと思います。
ふたつめは、これと矛盾するようですが、「社会人を質問攻めにするのではなく、良好な雰囲気で会話できるように考えて欲しい」ということです。私が今までで最も話しにくかったのは、こちらの顔も見ずに矢継ぎ早に質問され、答える内容を事細かにノートにメモされた時でした。
人間関係を築いて「グレーな部分」を聞き取る
本やウェブに載っていない生きた情報の中には、本音レベルのきわどい内容も含まれています。だからこそ実際に会って、会話の中で打ち明けられるのです。あくまでも「ヨソでは口外しません」とオフレコのような振りをし、グレーな部分も含めて聞き取るのが優れたヒアリングの態度です。
そのような貴重な情報を提供してもらえるかどうかは、OB・OGと短時間で良好な人間関係を築けるかどうかが決まります。そのために学生ができることを考えてみてください。
決して「何か買って持って行け」ということではありません。例えば、同じ学校の先輩でしたら、「新しくできた校舎」や「所属部活の戦績」など、今の学校の状況を教えてあげてはどうでしょうか。学校の変化や後輩たちの活躍ぶりは、先輩として嬉しいものなのです。
忙しい社会人がせっかく会ってくれているのだからと、「少しでも楽しい話題を提供したい」と頑張る後輩の姿を見ていると、
「この子になら、本当のことを教えてあげても大丈夫かな」
と思えてくるのが人情です。OB・OGから教えてもらうばかりの姿勢では、ご縁は遠のいてしまいます。わざわざ時間を作ってくれる社会人に、何らかの形でお礼をしようと考える姿勢を持つ人のところへ、情報も集まりますよ。
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