管財人の下で経営再建中のケータハムが、一般の出資を募る「クラウドファンディング」を7日から開始した。しかし期限の14日午前0時までにあと1日と迫った13日夜現在(ヨーロッパ時間)になっても、募金額は目標の54%しか集まっていない。この資金を元に、来週の最終戦アブダビGPでレース復帰、来季の参戦継続というシナリオが、このままでは破綻必至。チームはこのまま、消滅してしまう可能性が高そうだ。
先日発表された来季エントリーリストに、ケータハムはとりあえず名前だけは入っていた。しかし現行コンコルド協定によれば、「年間3戦以上欠場した場合、チーム登録を取り消される」ことになっている。すでにUSA、ブラジルの2連戦を休んだケータハムにすれば、次戦アブダビGP出場は、生き残りの絶対条件なわけだ。
そのため管財人が11月14日までに235万ポンド(約4億2535万円)を集める募金を開始。同チームがパートナーを組んだ「クラウドキューブ」のサイト(http://www.crowdcube.com/caterham/)を通じて、最低10ポンドから出資できる。出資者はアブダビGPに出走するマシンに名前が記載されるなど、額に応じた特典がある。期日までに目標額に達しなければ、全額返却される仕組みだ。
出足こそ好調で、開始4日間で目標額の51%に到達。このまま行けば、アブダビでの復帰も夢ではないと思われた。しかし、一方でマシンパーツやドライバーの私物であるウェアやヘルメットを切り売りするやり方に、批判も高まった。ブラジルGPのパドックでも、「F1のイメージを悪化させる、恥ずべき行為」(ジャック・ビルヌーブ)など、非難轟々だった。
そもそもそれ以前に、レースに復帰できる体制なのかという問題もある。すでに少なからぬエンジニア、メカニックが、自分から見切りをつけてチームを離れたという。ドライバーも、離れ始めた。
レースドライバーのマーカス・エリクソンはすでにブラジルで、「たとえ資金が集まったとしても、アブダビを走る気はない」と明言。13日には、ケータハムとの契約解消を発表した。小林可夢偉もおそらく、同様の意向と思われる。募金の勢いが急速に堕ちたのは、それらの情報が広まったこともありそうだ。
(柴田久仁夫)