週刊プレジデント1月13日号に掲載されたコラムが、ネットで話題を呼んでいる。タイトルは「課長、部長になったらいくらのスーツを着るべきか」というものだ。
立場に合ったスーツの価格として、新人は4万円、中間管理職・部長は10~25万円、経営者・役員は25万円以上が目安としたうえで、
「洗えるスーツは生涯着ないでください」「自分の都合を最優先にした装いで現れる相手と真剣なビジネスをしたいと思えるでしょうか」
と厳しく忠告している。
1万円スーツのネットユーザー「まじか。たけーよ」
筆者は、パーソナルスタイリストでファッションレスキュー社長の政近準子氏。1965年広島生まれで、会社のウェブサイトのプロフィールには「政治家、会社社長、管理職、起業家などの富裕層を主に顧客に持つ」と書かれている。
昔から「馬子にも衣装」という言葉があるように、上質のスーツを着れば、どんな男性でも見違えるようになるに違いない。しかし人には「先立つもの」が必要だ。
毎朝最寄りの駅まで自転車で乗りつけ、夏でもネクタイを締めて汗だくになり、日々のランチを500円以内で済ませようとするサラリーマンにとって、上等なスーツの優先順位は高いとは言えまい。ネットユーザーたちも、困惑を隠しきれないようだ。
「まじか。たけーよ」「景気がいいねぇ」
「なんか『課長島耕作』的な記事だなぁ」
ある中間管理職の男性は、「スーツはイオンの1万円スーツですね最近はもっぱら」と明かす。アウトレットで2~3万円のスーツを買い、「ワンシーズン2着ぐらい着つぶしちゃいますね」という人もいた。
記事を読んで不安になった人は、「みんな、そんな経済的余裕があるのか? 発想がバブルすぎてめまいがする」とつぶやいている。確かに1990年前後のサラリーマンたちは、ベルサーチやアルマーニの高級スーツを当たり前に着ていたかもしれない。
いまでも金融や商社ではスーツが必須だが、時代のヒーローは金満紳士から、スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグなどのIT起業家に移った。彼らはラフなカジュアルスタイルで知られ、スーツで人前に現れることもない。「スーツ着ている時点でビジネスマンとして2流じゃん」と揶揄する声もあった。
「サイズが合ったものを着る」には賛同多数
このほか政近氏のコラムは、課長・部長クラスの装いとして「シャツ:2万円前後」「靴:4~9万円」を目安とし、スーツの質も「13万円からグッと変わります」と指摘する。これには、
「(自分は課長や部長に)ならないから、そんな心配してもねぇw」
と苦笑する人も。高度成長期には誰もが定年までに何らかのポストを得て退職したものだが、いまでは7割どころか「9割は課長になれない」会社もあるほどだ。
いじり倒されているコラムだが、「セミオーダーもお勧め」としているところは賛同する声もある。自分に合ったサイズの服を選ぶことは重要だというわけだ。
「まずは体型にきちんと合っているか。洋服の着こなしはそこからでは」
「値段ではなく、ジャストフィット感が大切かも」
スーツをオーバーサイズ気味に着ているために、シルエットが崩れている人が多いと指摘する人は「まだまだ成長すると思っているのか?」と呆れている。また、自分に合った服装以上に、重要なことがあるという人もいた。
「あらゆるシーンに当てはまるルールは、上司より高いものを着ないってくらいじゃないですかね? 体育会的な理由でなくて、お客様の前で上司を引き立てるためですけど」
この理屈だと、自分が安物を着ていると、部下がさらに安いスーツで我慢せざるをえなくなる。そう考えると「部長、課長のスーツはいくらにしておけ」という目安も、意外と需要があるのかもしれない。
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