米国は日本よりも男女平等が進んでいるイメージがありますが、決して女性差別がなくなっているわけではないようです。特にIT業界では、女性が企画提案してもあしらわれるだけだったとか、起業の資金集めの打ち合わせで男性から身体ばかり見られていた、といった様々なケースがメディアに取り上げられています。
そのため、IT業界への女性の就職者が少ない状況が続いていましたが、ここにきて少し明るい兆しが見えているようです。米ビジネスインサイダーの記事によると、名門カーネギーメロン大学でコンピューターサイエンスの講義を履修する新入生のうち、40%を女性が占めていることが分かったそうです。(文:沢水 蛍)
女性向けの講座を開設し、学生や教員を啓発
記事によれば、40%まで数字が上がったのは2000年以来とのこと。新入生をみると、2012年度は29%、2013年度では34%と、年々女子学生の割合が増えているのがわかります。
女子の受講数が増えている理由として、副学部長のトム・コルティナ氏は大学のプレスリリースの中で、「今はどの分野の仕事でもコンピューターサイエンスが必要とされているため、人気が高くなっているのではないか」と語っています。
仕事の多いIT業界でのキャリアを考える学生が増えているということですが、その成果には大学側の地道な活動も一役買ったようです。女性のためのコンピューターサイエンス講座でディレクターを務めるキャロル・フリーツ氏は、大学が女性向けの講座の創設や、科学や技術、工学や数学に関わる職業について若い世代や教員に知ってもらう努力をしており、これが実を結んでいるのではないかと言います。
なお、ビジネスインサイダーには「The 100 Best Jobs In 2014」という記事もありますが、1位に「ソフト開発者(Software developer)」、2位に「システムアナリスト(Computer systems analyst)」がランクされていて、IT業界への注目度がうかがえます。
将来IT業界を目指そうとする若者が増えるということは、企業にとってとてもありがたいことです。しかし受け入れる企業側が女性差別の意識を変えられなければ、大学の努力も水の泡になってしまうでしょう。
(参考)Here's A Nice, Hopeful Sign For Women In The Male Dominated Tech Industry (businessinsider)
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