今年の9月に開幕したFIAフォーミュラE選手権。11月22日には第2戦マレーシア・プトラジャヤラウンドが開催される。初のEVフォーミュラカーでの選手権ということもあり、注目度は高い。その新しいモータースポーツを全戦テレビ中継するテレビ朝日は、BS、CSをメインに全戦生中継することを決めているが、新たに地上波でも全戦放送することを目指しているという。
まったく新しいモータースポーツだということもあり、テレビ朝日としても「どんなレースになるのか、どのくらいの注目を集めるのか」、想定できない部分もあった。しかし、開幕戦の地上波での生中継の視聴率は平均4.9%、毎分最高で7.2%を記録している。
テレビ朝日でフォーミュラE中継のプロデューサーを務める濱田克彦氏は「想像以上に注目していただけたという印象です。まったく新しいコンテンツで、あの時間帯(日本時間16時45分~18時)としてはまずまずの数字が獲れました」と語る。
「『地上波でやってくれてよかった』など、お褒めの言葉もいただきましたし、テレビ朝日のホームページ内でも、フォーミュラEのページはトップのアクセス数でした。仮面ライダーなどの子供向けコンテンツが、通常はトップに来ます。フィギュアスケートやサッカーなどのスポーツも、瞬間的にトップになることはありますが、フォーミュラEほど継続的にアクセス数が高いスポーツのコンテンツは、初めてなんです。モータースポーツ好きの方だけではなく、様々な方に興味を持っていただけたということだと思います」
ただし、開幕戦を放送して、反省点も多々あるという。
「レースのお伝えの仕方だとか、テロップの表示位置など、ご指摘も多々頂戴しています。一番お叱りをいただいたのは、レースが放送枠に入り切らなかったこと(続きはBS朝日で最後まで放送)。第2戦の生中継はBSでの放送となりますが、BSでは地上波と比べて余裕を持った編成ができるので前回のようなことはないと思います」
「初戦を中継してみて、正直難しさを感じました。テレビ朝日は以前、ル・マンの中継をしていましたが、当時の担当者は、もうほとんど社内にいないという状態です。そんな中で一から作り上げていく難しさを感じています。どこに人を配置すれば、情報を吸い上げられるのかという部分で、まだ甘いところがあった。これは純粋に反省しています。ただ、この部分をしっかりと構築できれば、レース好きの方々にも楽しんでいただける放送にできると思います」
難しさはあるとはいえ、テレビ朝日としては、フォーミュラEに大きな可能性を感じているようだ。そのため、同局が持つ伝達機能を最大限に活用して、フォーミュラEを全面的にバックアップしていきたいという。
「地上波、BS、CSはもちろんですが、それにインターネットと、それぞれの特長を活かして、フォーミュラEの魅力を伝えていきたい。とはいえ、地上波はやはり大きな影響力を持っているので、生中継ではなくとも、なんとか全戦、地上波でもお伝えできるように、現在調整しています」
22日に行われる第2戦プトラジャヤ。フリー走行と予選はCS、決勝レースはBSで生中継されるが、この日の深夜3時45分から、地上波でもハイライト中継が行われることになった。また、第2戦前日の21日深夜3時20分からは、開幕戦のハイライト番組も放送される。
「本来ならば、決勝は生で、地上波でやりたいです。いつから実現できるか分かりませんが、そういう機会をひとつでも増やしていきたい」
フォーミュラEは、F1やGTなど、他のモータースポーツに比べて走行音が極端に小さい。それはエンジンではなく、モーター駆動だからだ。ただ、実際に中継をご覧になった方は、「想像以上に面白い」と感じたのではないだろうか? 実はこの点については、濱田氏も心配だったという。
「音が無くて大丈夫かなと思いましたが、実際に見てみると迫力もあるし、モーター音もしっかりと聞こえる。しかも、電池の消耗を抑えてゆっくり走るレースになるのではないかという不安もありましたが、どのドライバーも最初から熱いバトルを繰り広げてくれて、面白いレースだったと思います。解説を務めてくれた片山右京さんも、『新しいカテゴリーのいいレースだったね!』と、仰っていましたし。この臨場感を、もっと広めていきたいです」
この臨場感を伝えるひとつの手法として、ハイライト動画、特にオンボード映像をWEBサイト等で公開する予定だ。そして将来的には、オンボード映像をライブ中継して、セカンドスクリーンとして楽しんでもらうことを目指すという。
「まずはテレビというところは変わりませんが、スマートフォンなどを使って、リアルタイムで楽しんでいただける要素を増やしたいです。また、将来的にはゲームなども融合して、若い人たちに興味を持ってもらえるコンテンツにしたいと思っています。ゲームをプレイした中高生が中継を見て、『カッコいいじゃない!』と興味を持ってくれるようにしたいですね。そして、彼らがクルマにも興味を持ってくれるような、新しい波が来てくれればいいと思っています」
また、フォーミュラEの魅力のひとつに、公道で行われるレースという要素もある。フォーミュラEの速度は確かにF1ほど速くないが、狭く、コンクリートウォールで囲まれたコースで走ることで、迫力が増しているのだ。
「公道というのはやはり魅力です。東京都内などで行われるようになれば、本当に魅力的なコンテンツになると思います」
日本国内でのフォーミュラEの公道レースは、実現に向けて関係各所で調整が行われている。その実現を、今から心待ちにしたい。
「フォーミュラEはイベント自体も、コースも、何もかもが初めてですので、今はまだ手探りの状態。しかし、魅力あるコンテンツであることは間違いないので、時間をかけて大きく育てたいと思っています。」
フォーミュラE選手権 第2戦プトラジャヤ
テレビ朝日系列地上波
決勝ハイライト 11月22日(土)深夜3:45~4:35 ※一部地域を除く
※開幕戦ハイライト 11月21日(金)深夜3:20~4:20 ※一部地域を除く
BS朝日
決勝(生中継) 11月22日(土)午後2:55~5:00
ハイライト 11月23日(日)よる11:30~12:00
CSテレ朝チャンネル
テスト走行(生中継) 11月22日(土)あさ8:45~10:00 CSテレ朝チャンネル2
予選(生中継) 11月22日(土)ひる11:00~12:00 CSテレ朝チャンネル2
ネット配信 テレ朝動画にて近日公開