11月8日~9日に、鈴鹿サーキットで開催された全日本選手権スーパーフォーミュラ第7戦の決勝レース2を制し、中嶋一貴(PETRONAS TOM'S)が2回目の国内トップフォーミュラチャンピオン獲得を果たしたことについて、レース後の記者会見でチームの舘信秀監督は、所属するふたりのドライバーを称賛した。
国内モータースポーツ界でもきっての名門チームのひとつであるトムスは、1974年に舘信秀会長、大岩湛矣社長のふたりによって創設され、2014年に創立40周年を迎えていた。そんな節目の年に、一貴がドライバーズチャンピオンを獲得。チームタイトルもPETRONAS TOM'Sが手中に収めている。
チームは2011年からアンドレ・ロッテラーと一貴のコンビとなったが、11年はロッテラーが王者に。12年は一貴がタイトルを獲得し、ここ4年で3人の王者を輩出。今季もロッテラー/一貴のコンビでシリーズを戦ったが、開幕戦鈴鹿ではロッテラーがレースをリードしながらも、タイヤを左右逆につけてしまうトラブルもあり勝ち星を逃した。
ただ、それ以降は抜群の安定感と競争力を披露。今季はトヨタエンジンが優勢にシリーズを進めたこともあったが、ロッテラーが第2戦レース2と第5戦で優勝。一貴は第3戦と第7戦レース2を制し合計4勝を挙げた。一貴は今季全戦でポイントを獲得しており、F1時代を上回る強さと速さ、上手さを兼ね備えていると言っていい。
また、今季はロッテラーがF1ベルギーGP参戦のために第4戦もてぎを欠場したが、その際に代役を務めたアンドレア・カルダレッリが殊勲の3位表彰台を獲得しチームタイトルに貢献したのも、PETRONAS TOM'Sの強さを物語っていると言える。
迎えた最終戦鈴鹿では、一貴、ロッテラーともレース2にタイトルの可能性を残す展開となったが、舘監督は「最後の最後まで何が起きるか分からないし、ずっと緊張していましたね。追いかけている方が楽でした(笑)」と一貴のチャンピオン決定後語った。
「緊張するので、それが伝わるとイヤなので(ふたりと)顔を合わせないようにしていたんです」
迎えたレース2では、ポールポジションから飛び出した一貴が一度もトップを譲らず優勝。文句なしの2014年スーパーフォーミュラ王者を獲得した。また、第4戦の欠場、第6戦でのクラッシュによるリタイアが響きロッテラーは王座に手が届かなかったものの、このレースでは2位に入り、しっかりと一貴の王座獲得を後押しした。
「レース2は一貴のポール・トゥ・フィニッシュで、もう完璧でしたよね。もちろんアンドレも3番手スタートでひとつ順位を上げて2位だったので、レース2に関して言えばパーフェクトでした」と舘監督。
「今年1年を振り返ってみると、ミスが多い1年だったと思います。アンドレのタイヤを左右逆につけたり、ピットに入れなければならないタイミングで入れられなかったり。ある意味アンドレには申し訳ない結果になってしまいましたね。来季に向けてはその辺を改善しなければいけないと思います。もちろんタイヤの左右を逆につけることはもうないと思いますけど(笑)」
「ふたりには本当にありがとうと言いたいです。おかげさまでチャンピオンを獲ることができました。弊社は今年40年というアニバーサリーイヤーなので、その記念に華を添えることができたと思います」
まさに圧倒的な成績で、激戦が展開されるスーパーフォーミュラを制したPETRONAS TOM'S。ふたりのラインナップは、世界中を見渡しても現代のフォーミュラカーレースでは屈指のコンビと言える。ふたりの来季について聞かれた舘監督は、2015年シーズンに向けてこう答えた。
「来年に向けては、このラインナップを変えるつもりは私はありません。本人たちがいてくれればですけど(笑)」
40周年のトムスは、11月15日~16日に開催されるスーパーGT第8戦もてぎで、もうひとつのビッグタイトルに挑む。ドライバーズランキングでは、現在ワン・ツーだ。“国内完全制覇”の偉業はなるだろうか?