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GAZOO Racing 86/BRZ RACE第10戦鈴鹿:谷口信輝が今季5勝目を飾り有終の美

2014年11月10日 17:30  AUTOSPORT web

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今季5勝目を喜ぶ谷口信輝
全10戦で争われるGAZOO Racing 86/BRZ RACEもついに最終戦を鈴鹿サーキットで迎えたが、優勝を飾ったのはすでにチャンピオンを決めている谷口信輝(KTMS 86)だった。予選こそ2番手だったものの、オープニングラップのうちにトップに立って逃げ切り成功。今季5勝目をマークし、有終の美を飾ることとなった。

 週末の天気は崩れると予報では告げられたものの、予選が行われた土曜日までは幸いにしてコンディションはドライをキープ。金曜日の練習走行でも2分32秒台をマークし、トップだった山野直也(CABANA BS μ86)が予選では31秒479を叩き出して、第1グループのトップに。これに織戸学(TR86クローズEXPLODE)が32秒090で続き、佐藤晋也(OTG TN滋賀86)と元嶋佑弥(KOTA-R Rn-S BRZ)もまた32秒台を記していた。

 続く第2グループでは谷口が32秒192を出してトップに立つも、きっちりクリアラップが取れず、その後いったんクールダウンを挟んだ後、2周もアタックを重ねたものの、山野のタイムは上回れず。ポールポジションを明け渡すこととなった。

「出て行った場所が悪かったのもあるけれど、直也のタイムは出ない。僕らのヨコハマよりブリヂストンとかグッドイヤーの新しいタイヤは溝が少ないから、鈴鹿みたいな高荷重なコースには強いので。まぁ決勝は雨みたいだから、平和にいきますよ」と谷口は語っていたのだが。なお、32秒台は大西隆生(オートバックスG7 86ポテンザ)と羽根幸浩(メタルラボSPEX YH86)、そして神谷裕幸(N中部ペトロナスGY WM86)も記録した。

「練習も予選モードでけっこう限界ぎりぎりだったけど、今日は朝、スーパーフォーミュラが走って、1~2コーナーを走ってすぐコンディションが良くなっているのが分かった。上がってコンマ5秒ぐらいかなと思ったけど、コースが長い分、積み重ねなのかな? こんなにタイムが上がっているとは正直思わなかった。今年は苦しいレースが続いたから、最後ぐらいは!」と山野は会心の走りに上機嫌。

 しかし決勝レースは案の定雨模様に。このコンディションが予選を終えた後の谷口のコメントとは、正反対の状況をもたらした。フロントロウに並んだ山野、谷口ともに好スタートを切ったが、オープニングラップのデグナー進入で谷口が早くもトップに浮上。その後ろには織戸、佐藤、大西、そして元嶋が続く。その一方で中団ではクラッシュが続出。スタート直後のストレートでは追突を食らった水谷大介(ネッツ東京86)がピットウォールに激突し、さらにS字では若杉将司(mountain K-ONE 86)らも。そのため、オープニングラップを終える前にセーフティカーがコースイン。

 SCランはわずか1周で終了したが、リスタートを完璧に決めたのが谷口だった。130Rからアクセルを踏み込んだのに対し、逆に山野はタイミングがずれて、コントロールラインを超えた時には3秒の遅れをとることに。

「まさかあそこからとは。それにもともと130Rは得意じゃなかった」と山野は悔しがる。その後もリードを広げていく谷口を山野は追いかけることを許されず、逆に織戸の強烈なマークを受けることとなる。

 その一方で、誰よりコースを勢い良く駆け抜けていたのが、6番手につけていた元嶋だった。3周目にまず大西をかわし、次の周には佐藤もパス。5周目には織戸をも抜き去ってしまう。さらに6周目には山野も。その山野は7周目には織戸にもかわされる。こうなると、もはや元嶋に残された獲物は谷口のみとなったが、残念ながら時すでに遅し。最終ラップに突入した時点で、谷口は9秒以上も先に行っていたからだ。

 元嶋の脅威を感じることなく逃げ切った谷口は、まさにしてやったりの表情。「フォーメーションラップから手応えを感じていて、(山野の)ブリヂストンの方が熱は入りにくいから、これは早めの勝負だと。それにリスタートもうまくいった。あんなに差がつくとは思わなかったけど。まぁ、相手にタイミングを外させるのも得意ではあるんだけどね。このクルマで勝つのは初めて。換えてから岡山ではクラッシュに巻き込まれ、オートポリスでは予選でやっちゃっていたから。みんな喜んでいると思いますよ」と谷口。

 一方、自身のみならずBRZやダンロップタイヤでも過去最上位となった元嶋は、レース後に大喜び。「泣きましたよ、ラスト3周はいろんな意味で! この順位に上がれたことも、タイヤも終わっている中、あんな走りができたことにも。セットが完璧だったのが大きいですね」と元嶋。そして、「元嶋がすごく速くて、抑え切れなかった。セットも外したし」と語りながらも織戸は3位でゴールし、ランキングでも僅差で山野を抑えて3位につけることとなった。

 なお、レース後にはシリーズ表彰も行われ、来季は全8大会での開催で既報のとおり、プロクラスとクラブマンクラスが同日に開催されることが発表された。細かい日程などは後日発表されることとなっているが、プロクラスでは機械式LSDが指定パーツとして使用が許され、有効6戦となることに。またクラブマンクラスでは有効4戦となる予定だ。その他の新規定に関しても、詳細が明らかになったら報告したい。

(はた☆なおゆき)