予選後に小雨が降ったインテルラゴスは、夜も何度か雨に見舞われた。しかし、日曜はねずみ色の雲に上空が覆われているものの、午前10時の段階で雨は降っておらず、サポートレースのポルシェ・カップはドライコンディションでレースが行われている。
そのポルシェ・カップで表彰台の頂点に立ったのは、ペドロ・ピケ。ネルソン・ピケの息子である。表彰式には父親のピケも登壇。グランドスタンドのファンから喝采を浴びていた。
ブラジルのファンのボルテージが上がっているのは、ピケの優勝だけが理由ではない。前日の予選でフェリペ・マッサが3番手につけたからだ。マッサが予選で3位以内に入ったのは、第10戦ドイツGP以来、今シーズン3度目。1回目は第8戦オーストリアGPで、この時はレースでメルセデスとチームメイトのバルテリ・ボッタスの逆転を許して、結局4位。ドイツGPでは1コーナーでマグヌッセンと接触してリタイアに終わっているマッサにとっては、母国グランプリで三度目の正直といきたいところ。父親のルイス・アントニオ・マッサも「今回こそ表彰台以上を目指したい」と、マルティニ・カラーのキャップをかぶって、家族や親戚一同を引き連れてサーキット入りしている。
そのマッサは土曜の夜に、恒例のチーム関係者を自宅に招いてのパーティを今年も行った。昨年まではフェラーリのスタッフたちがその恩恵に授かっていたが、今年はウイリアムズのスタッフが初めて招待された。予選後マシンがパルクフェルメに入ると、白幡勝広メカニックも「これから行ってきます」と笑顔でサーキットを後にしていた。
日曜の朝刊で、見出しを飾ったのもマッサだった。
「ワールドカップのリベンジを果たす」
今年7月にブラジル・ベロオリゾンテで開催されたサッカーのワールドカップで、ドイツに1対7の歴史的大敗を喫したブラジル。マッサは土曜の会見で「ポールポジションからスタートするドイツ人のロズベルグを逆転することができれば、ワールドカップの雪辱となるだろう」と語っていたのである。
ピレリのマリオ・イゾラ(レーシングマネージャー)によれば「レースでのピットストップ回数は理論的には3回のほうが2回より速いが、インテルラゴスは1周が短いので渋滞が起きやすい。そのリスクを避けて2回が主流となるだろう」と語っている。
ただし、インテルラゴスの天気予報は午後3時から4時にかけて最も降水確率が高く、35%となっており、ウエットコンディションになる可能性もある。土曜の予選では何台かのマシンがウエット寄りのセッティングを施しており、天候次第では波乱の展開となることも予想される。
ちなみにフロントロウからスタートするメルセデス勢は、これまで一度もブラジルGPを制したことがなく、どちらが勝ってもブラジル初優勝。予選3列目で当地の優勝経験があるのはマッサ、ジェンソン・バトン、セバスチャン・ベッテルの3人で最多勝はマッサとベッテルの2回である。果たして勢いのメルセデスか、それとも経験のマッサ、ベッテル、バトンか。はたまた伏兵の予選4位ボッタスか。新パワーユニットで行われるインテルラゴスでの一戦を制するのは誰か。レースは、日本時間25時にスタートする。
(尾張正博)