2014年11月09日 12:11 弁護士ドットコム
「経費で電化製品を買ったら、ポイントは自分のものにしても構わないでしょうか」。こんな質問が、ネットの掲示板に寄せられていた。投稿者の勤める会社では、たまったポイントは社員各自が自由に使っているのだという。
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たとえば、経費で電化製品を購入する際、購入をまかされた社員が自分のカードを使用してポイントを貯めたり、出張で飛行機を利用した際は、付与されたマイレージをプライベートで使用したりしているそうだ。質問者は「社員同士・部署間同士での不公平感を助長してしまうのでは?」と危惧しているという。
そもそも、会社の経費で買い物して発生したポイントは、「会社のもの」ということにならないのだろうか。「自分のもの」にしても、法的に問題ないのだろうか。労働問題にくわしい竹之内洋人弁護士に聞いた。
「この問題は、その会社が『ポイント取得』について、どのような姿勢を取っているかによって決まってきます」
竹之内弁護士はこう述べる。
「原則として、会社は『ポイントは会社のものだ』と主張することが可能です。こうしたポイントは、あくまで『会社のお金での買い物に対して与えられる利益』だからです」
それでは、社員が自分のためにポイントを使うことは「違法」ということだろうか。
「そういうわけではありません。権利を持つ者がその権利を譲るのは自由です。
したがって、『当社では、ポイントは買い物に行った社員にあげる』という扱いであるなら、社員がもらっても問題ありません。
その場合、質問者が危惧するように、社員間で不公平感が出る場合もありますが、そのあたりも含めて、会社が判断することです」
会社が『ポイントは会社が取得する』としている場合はどうだろう。
「こうした場合に、社員がポイントを自分のものにしてしまえば、懲戒事由になるでしょう。民事上の賠償責任も生じえます。犯罪に当たる可能性もあります」
周囲に聞いてもわからない、という場合が一番困りそうだ。
「難しいのは、扱いがどうなっているのかあいまいな会社での対応です。トラブルを避けるためには、社員として、黙ってポイントをもらってしまうのではなく、上司に、ポイントはどうしたらいいのか確認すべきでしょう」
竹之内弁護士はこのように指摘していた。自社に決まりがあるのか、ないのか。決まりがないならどう取り扱うべきなのか、買い物をする前に、きちんと会社に問い合わせたほうが良さそうだ。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
竹之内 洋人(たけのうち・ひろと)弁護士
札幌弁護士会、日本労働弁護団員、元日本弁護士連合会労働法制委員会委員
事務所名:公園通り法律事務所
事務所URL:http://www.pslaw.jp/