米シンクタンクのピュー・リサーチセンターが2014年に世界各国の「幸福度」を調べたところ、国民1人あたりのGDPが向上した新興国における幸福度の伸びが顕著ということが分かったそうです。
英タブロイド紙のデイリーメールは、この調査結果を「幸せはお金で買えることが証明された(More money DOES make you happier)」という刺激的な調子で報じています。
上位にはイスラエル、米国、ドイツ、英国
この調査は世界43か国の国民に対し、アンケート形式で実施。「生活の満足度」をはしごに例え、考えうる中で「最も良い生活ができている場合」は10段目、「最悪な場合」は1段目を選ばせ、7段目以上と回答した人の割合で「幸福度」を算出しています。
2014年の「幸福度」では、イスラエルが75点、米国が65点、ドイツが60点、英国が58点といった国が上位を占めています。
一方、前回調査の2007年から最も「幸福度」が伸びたのは、インドネシアで35ポイント(23点→58点)。次いで中国(26ポイント)、パキスタン(22ポイント)、マレーシアとロシア(ともに20ポイント)と続きます。経済成長が著しくGDP(国内総生産)が上昇した国が目立ちます。
経済や社会が比較的成熟してGDPも高い先進国は、「幸福度」では上位を占めていますが、欧米諸国の不景気の煽りをあまり受けなかったドイツを除き、「幸福度の伸び率」の動きはほとんどありませんでした。
GDPの高さと幸福度がほぼ比例していることから、デイリーメールは「幸せはお金で買えることが証明された」と報じていますが、その一方で、
「お金がなくても幸せな家族はいるし、お金持ちでも夫婦喧嘩が絶えず子どもがドラッグに走る家だってある」
というベトナム人のコメントを掲載するなど、お金が幸せの全てではない、という見方も一応フォローしています。
インドネシアを大きく下回る「日本の幸福度」
タブロイド紙のデイリーメールらしい拝金主義を煽る品のない記事ですが、寄せられたコメントには「健康」や「愛」といったお金以外の幸せの要素について触れているものが多く見られました。
「お金はモノを買うためだけのものじゃない。ストレスを減らしたり健康的な生活を保障するものでもある」 「お金があったって早死にする億万長者だっている。お金で健康が買えないこともあるよね」 「そんなに健康じゃなくても、真実の愛があれば人生は豊かになるでしょ」
しかし中には、こんな皮肉を言う人もいます。
「『お金で幸せは買えない』なんて言うのは、すでにお金を持っている人だけだ」
また記事によると、2014年の日本の「幸福度」は43点で、韓国の47点やイタリアの48点、フランスの51点を抑えて先進国最下位となっています(EU加盟国ではギリシャの37点がありますが)。これはインドネシアの58点をも下回っています。
日本は2002年が驚異の39点ですから、そこから見たらだいぶ回復したのかもしれません。とはいえ日本のGDPは、米国と中国に次いで世界第3位のはず。「幸福度はGDPに比例する」という推論を真っ向から否定する結果となっています。
GDPは高いのに、幸せを感じられない日本人。もしかすると「幸せを感じられないお金持ち」の皮肉が最も当てはまるのは、私たちなのかもしれないですね。
(参考)More money DOES make you happier (Daily Mail Online) / People in Emerging Markets Catch Up to Advanced Economies in Life Satisfaction (Pew Research Center)
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