F1サーカスは南へ移動し、ブラジルはサンパウロにやって参りました。今季のF1も残すところ2戦。いよいよ佳境でございます。
さてそのブラジルGP。初日金曜日の走行が終了しました。相変わらずと申しますか、フリー走行(FP)1回目も2回目も、トップはニコ・ロズベルグ、2番手はルイス・ハミルトンと、メルセデスAMGの2台が上位を占めました。しかも、ロズベルグがFP1で3番手のダニール・クビアト(トロロッソ)につけた差は0.959秒、FP2ではキミ・ライコネン(フェラーリ)に0.573秒もの差を付けました。
メルセデスAMGの2台が速いのは間違いないと思いますが、それ以外となると……初日の結果から検証するのは、非常に困難であります。検証を非常に難しくする、多くの要素が介在していたからです。
まず路面の舗装です。今年のインテルラゴス・サーキットは、路面の舗装が全面的に新しくなり、今回のレースは新舗装下で行われる、初のF1となります。そのため、各車が走行を重ねるに連れて路面にラバーが載り、コンディションは大幅に変わっていきました。FP1のセッション開始時と、FP2のセッション終了時では、全くと言っていいほど異なる路面状況だったはずです。
次に路面温度の急変です。FP1での路面温度は28度だったのに対し、FP2では路面温度は一気に58度まで上昇しました。このコンディションの急変で、タイヤへの影響は大きく異なりました。今回のグランプリには、ミディアムとソフトの2種類のタイヤが持ち込まれていますが、中でも柔らかい方、ソフトタイヤはFP2で大きなデグラデーションを発生させていました。
ウイリアムズのフェリペ・マッサとマクラーレンのジェンソン・バトンはFP2で、ソフトタイヤを履いての連続走行を行いました。マッサは4周、バトンは6周と短いものでしたが、マッサはこの4周で2.6秒程度、バトンは6周で1.7秒程度タイムを落としています。このラップタイムの下落がデグラデーション(タイヤの性能劣化)によるものだったとすると、その影響はものすごく大きく、レースでも同じような影響が出てしまうと、ソフトタイヤはなかなか使いづらいかもしれません。
メルセデスAMGのふたりのマシンのデグラデーションは、非常に小さいように思われますが、ロズベルグのタイヤにはブリスター(タイヤの温度が上がり過ぎ、沸騰したような状態になって気泡ができてしまうこと)が発生したとのこと。いずれのマシンも、ソフトタイヤでのロングランには頭を悩ませることになるかも知れません。
この状況が把握しきれなかったのは、初日多くの赤旗中断があったため。多発した赤旗の影響で、各車が思い通りのロングランをこなすことができませんでした。土曜日のフリー走行3回目では、タイヤの確認を行うことが、ふたたび主なミッションとなるでしょう。
ただ土曜日は、午前中から午後にかけ、降雨の可能性が指摘されています。もし雨が降るようなら、ロングランを試すことのできないまま決勝を迎えることになるかもしれません。また、路面に付着したラバーが流されることにもなってしまうため、コンディションが再び大きく変わってしまう可能性があります。
なお、ピレリによりますと、ソフトとミディアムのタイム差は1周あたり0.8~1秒程度、デグラデーションの値は明確になっていないということです。
F1世界選手権第18戦ブラジルGP。予測不可能な要素が多く、土曜日以降も見逃せないセッションが続きます。この予測不可能性が、ハミルトンとロズベルグのチャンピオン争いに、どんな影響を与えますか? まずはFP3と予選にご注目ください。