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IT・ゲーム業界の転職経験者の4割 「企業が出す求人情報はあてにならない」

2014年11月06日 19:40  キャリコネニュース

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景気回復に伴い転職市場が上向きになる中、IT・ゲーム業界への転職経験者の4割が、企業が提供する求人情報に不信感を抱いていることが分かった。

「求人企業が出す募集情報」を信用しているか尋ねたところ、「どちらかと言うと信用しない」が37%、「全てにおいて疑っている」が6%。「企業の面接官(担当者)の情報」は「どちらかと言うと信用しない」が34%、「全てにおいて疑っている」が6%だった。

入社したら「仕事内容が全然違った」という人も

この調査は「転職.TV」を運営するメタフェイズ(東京・新宿)が、首都圏の1都3県に住むウェブやIT、ゲーム業界の転職経験者にアンケートしたもの。

転職する前と後で「満足度が下がった」と回答した人に理由を聞くと、「募集情報に書かれていることと実際の仕事内容が違った」という回答が42%(複数回答)と最も多かった。回答者からは、こんなコメントが寄せられている。

「仕事内容が全然違うことがあった。それをやりたくて応募、入社したのにショック」

「入社後に任せる可能性がある業務はすべて挙げるべき」

「客先常駐はやめて欲しいです」

入社後に「業務変更や組織変更など不利な情報が出てきた」という回答も26%あった。

「1~2年の間に予定している組織変更などの情報を教えて欲しい」

「異動でキャリアが変わってしまう可能性があるならそれも記載するべき」

働いている最中に「契約内容や条件を変更された」も9%いた。募集要項の給与額と「実際の額とが開きすぎ」というコメントもあったが、求人広告の内容がそのまま雇用条件になるとは限らない。雇用契約書を締結するまで、気を抜かないようにしたい。

残業手当が30分単位で出ると説明を受けたのに、「入社してみたらサービス残業が多かった」というコメントも。入社したてて職場になじむ前には、なかなか断りにくいものだ。このほか、入社前に「社風」を知る機会がないことを嘆くコメントも目についた。

「(新卒の)インターンのように、転職前に社風などを感じ取れる機会を設けて欲しい」

「現場の人と直接話す場を設けた方がよい。管理者以外の社員の本当の声が聞きたい」

「転職する前に職場の雰囲気をもっと見たい」

「実態に沿っていない社是を掲げないで欲しい」

「入社した人だけではなく、退職した人の声も欲しい」

売り手市場で企業が「条件を盛る」ケース増えた

また、入社すれば誰にでもハッキリ分かる、求職者を騙すようなウソを平気で言う企業担当者に憤るコメントも散見される。

「理想的なモデルケースだけでなく、実際に多いケースを紹介してほしい」

「全てにおいて正直に書いてほしい。そんな会社ないかもしれないけど」

「素直に話をして欲しい。嘘が多すぎる」

「真実を書いて欲しい。悪いところも書いてほしい。とにかく本音を」

調査元の「転職.TV」の担当者は、企業の情報と実態が乖離する理由を次のように説明する。

「最近、景気が回復して『売り手市場』になったことで、人材の獲得競争が激しくなった。そこで企業が、少しでも求人情報をよく見せようとする傾向があるようです」

特にIT・ゲーム業界は長時間労働が常態化しがちだが、求職者が具体的な実態を確認することを怠ると「企業がうやむやにする傾向」があるという。すでに多くの転職希望者は「残業は1日平均1~2時間」と言われても、信用しなくなっているようだ。

また、IT系は未上場の中小企業が多く、求職者が経営状況を把握するのが難しい。そのため、入社後しばらくして部署が潰れてしまい、クビになったケースもあったという。

「転職.TV」の担当者は、「会社との交渉に不安を感じる人は、転職エージェントを通じて行うことも考えられます」という。業界に強い人材サービス会社であれば、給与や労働時間の相場を踏まえた交渉を代行してくれるうえ、社風などあいまいな情報についても把握していることが多いというのが、その理由だ。離職率を把握している場合もあるという。

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