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F1メカアップデート:苦闘が続くフェラーリ、リヤ翼端板にスリットを追加

2014年11月06日 18:00  AUTOSPORT web

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フェラーリ F14 Tの翼端板にスリットが追加されたリヤウイング
ルカ・モンテゼモロがフェラーリ本社を去ってから、初めて行われるグランプリとなったアメリカGP。そこにフェラーリは改良したリヤウイングを投入した。オースティンに持ち込まれたリヤウイングは、翼端板にスリットが入っている(写真内の矢印を参照)。

 これはレッドブルが開幕戦オーストラリアGPで採用していたアイデアである。翼端板のスリットは、リヤウイングの2枚のフラップと翼端板が結合する端の部分で発生する乱流を、外側から速度の速い空気流を入れることで吹き飛ばし、リヤウイングの実効面積を広げる役割があると考えられる。今回設定されたスリット2カ所は、2枚のフラップの裏側と翼端板との間で発生する乱流を吹き飛ばす役割を持ち、その上に見える水平の5つのスリットは、2枚のフラップの表側と翼端板との間で発生する乱流を吹き飛ばす役割を持つものである。

 フェラーリは他にも翼端板の前方下側に2本のスリットを入れるなど、リヤウイングで得られるダウンフォース量を少しでも増やそうとしており、いまだリヤエンドのダウンフォース不足に悩んでいるようだ。対照的に、レッドブルはアメリカGPでフェラーリが今回追加してきたスリットを外したタイプを使用(文中の写真リンク参照)。レッドブルはリヤウイングに頼らずダウンフォースを獲得、空気抵抗をできるだけ軽減した効率の良い空力パッケージを実現したようで、ダニエル・リカルドが3位表彰台を獲得している。

(尾張正博)