ホリエモンこと堀江貴文さんがネット番組で「絶対正社員にならない方がいい」と語り、議論が起きている。発言があったのはYouTube「ホリエモンチャンネル」に10月29日公開された動画「堀江貴文のQ&A vol.394~安定の鍵は掛け持ち!?」の中だ。
「正社員、派遣に次ぐ『クラウドワーカー』についてどう思われますか?」
という質問に、ホリエモンは「正社員志向」は「絶対間違いだと思う」「絶対正社員とかならない方がいい」と断言。派遣から正社員になった知り合いが、手当がなくなり給料が下がったあげく、副業も禁止された例を引き合いに出し、「バカだな」と思ったと明かしている。
「社員の方が楽でいーよ。簡単にはクビに出来ないし」
一方、クラウドワーカーについて、「一つの仕事じゃなくて複数の仕事を掛け持ちして時間分割して、という働き方が当たり前になるでしょう」と予想する。
クラウドワーカーとは、組織に属さずにネット上の「クラウドソーシングサービス」で仕事を個人受注するワークスタイルだ。会社員として働きながら、副業として働く人もいる。
自身が主催するサロンでも、本業を持ちながら週末の時間を利用して起業した人がいるといい、「僕はそっちの方が安定してると思う」と語る。副業がリスクの分散になると考えているようだ。
会社員として収入源を一つに限定していると、辞めざるを得なくなったときに「収入も精神的にも厳しいでしょ」というわけだ。一連の発言はネットメディアU-NOTEで紹介され、視聴者から反響があがった。ツイッターやフェイスブックには、ホリエモンの考えに賛同する意見が多く見られる。
「一つの所に収まるって事は、他人に自分の人生を全て預けることだもんね」
「収入の道を何本も持っておく。一本一本が細くなって行くのだから、道理です」
会社はあくまでも仕事を学んで人脈を築く場でしかないという人もおり、積極的に賛同ではない人たちからも、「会社が副業を認めればいい」という意見は少なくない。
その一方で、ビジネス系ニュース共有アプリ「NewsPicks」では、「絶対正社員とかならない方がいい」というホリエモンの意見に意外なほど否定的なものが目立つ。
「そこに正社員と派遣があるなら、まずは正社員だと思うけど」
「社員の方が楽でいーよ。簡単にはクビに出来ないし、さぼってても給料もらえるんだもん」
収入源の分散は「老後の生活保障」にもなる?
否定的な意見に多く見られるのが、ホリエモンが推奨する「クラウドワーカー」のような働き方は、一部の優秀な人にしかできないという考えだ。
「能力のない人間は正社員でいたほうがいいだろうな…正社員でも安定した未来はないだろうけど、外に出るよりはまし」
「正社員でもバリバリ出来る能力がある人がする一つ上のレベルでの話なわけで、一般的な派遣社員はダブルワーク出来るスキルもモチベーションも持ち合わせてないよ」
アニメ「機動戦士ガンダム」に喩え、仕事をエースパイロット用の高性能機で単独運用できる「ガンダム」と、一般兵用で集団運用が前提の量産機「ジム」に分けるとすれば、「誰もがガンダムホリエモン専用機に乗れるわけではない」というわけだ。
ネットには元々、ホリエモンにせよスティーブ・ジョブズにせよ、成功した人が独立を推奨するのを「真に受けてはいけない」という考えが根強く、今回も「騙されるな」と警戒する見方が強いようだ。
一方、当のホリエモンは、批判を受けても考えを変えていない。「ま、収入源を分散することは老後の生活保障にもなるんだけどなあ」と自らNewsPicksに投稿していた。
現在、大企業を中心に「年功序列」を排する動きが強まっているが、今後は「生活給的な要素」が弱まっていくことは確実だ。年金の支給も、心もとない。ホリエモンに賛成する人も反対する人も、老後の生活防衛を自力で考えざるを得ないのは同じことだろう。
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