ロータスは来シーズン用に開発した、プロトタイプのノーズをアメリカGPに持ち込んだ。そして、マクラーレンも同様に新しいノーズをオースティンに持ち込み、テストを実施していた。
ただし、ロータスは金曜日のフリー走行でロマン・グロージャンのマシンでデータを収集した後、土曜日以降は従来のノーズに戻したのに対し、マクラーレンは2台とも金曜日から装着して、日曜日のレースまで使用し続けた。したがって、これは2015年に変更されるノーズを巡るテクニカルレギュレーションに合わせて試作されたものではなく、純粋に2014年の空力開発のアップデートだと言っていいだろう。
マクラーレンの新ノーズは、レギュレーションに適合するために低く伸ばされた細長いノーズの根元に膨らみをもたせ、ノーズ下にボリュームを与えている(写真の赤い矢印)。これにより、ノーズ先端で発生する乱流を整流し、キール部分へ導き、床下にスムーズに流すようにしたと思われる。このようにノーズ下にボリュームを持たせる処理はレッドブルも行っており、こちらはより膨らみを持たせたバルジを形成している。
ただし、走行データが十分でなかったためか、新ノーズによるセットアップ作業は予定とおり進まず、セッションが進むごとにマシンバランスは悪化。レースでもリヤタイヤのデグラデーション(劣化)に悩んで、思うような結果を出すことはできなかった。
(尾張正博)