世の中には、「PCサポーターはパソコンを使う作業全てに対応してくれる」と思い込んでいる方がおります。そういう方からお仕事をいただいた後で、「え、それはウチじゃできませんよ!?」と、とまどうことが多々あります。
あるお客様。「パソコンが得意じゃないので教えてほしい」という依頼でした。客先にうかがってみると、机には領収書の山。「この領収書をパソコンで入力して、税務署に提出する書類を作ってほしい」というのです。(文:光明隠歌)
サポーターは「補助業務をする人」じゃない
「ちょっと待って下さい。依頼内容と全然違いますよ!」
「え、だって税務署はパソコンで書類作れるって言ってたぞ? ソフトも入ってるし」
弥生会計やe-Taxの使い方の指導ならば、多少はサポートできます。しかし、その大量の領収書を私が入力するならば、別に料金が必要になりますが……。
「なんでだ! パソコンサポートなんだから、そういうこともするんじゃないのか!」
なるほど。「パソコン」の「サポート」すなわち「補助」ですね。できなくはないんですけどね。依頼内容と違う上に、拘束時間の計算も変わってきてしまうのですが……、と説明したところ、ボッタクリの悪徳業者呼ばわりされてしまいました。
確かに電話で「パソコンの使い方が」「入力が」とはおっしゃっていました。最初のヒアリングミスですね、失敗しましたということで、次回から気をつけようと前向きに考えないと、たまにやってられない時があります。
別のお客様は、「ICレコーダーのデータをパソコンに入れる方法を知りたい」とのこと。ICレコーダーの種類やどのような形式で保存しているか、パソコンに入れるためにどのように転送するかなど、いろいろ方法がありますので詳しくお聞きします、と言いました。
すると「よくわからないので、全部持っていきます」と、事務所に一式持っていらっしゃったのです。それも、デスクトップパソコン。そして、こうおっしゃいました。
「ICレコーダーの内容を裁判の証拠として提出するから、テープ起こしして!」
サポーターは「熱烈な応援団」でもない
大変申し訳ありません。「パソコンに入れる」というのが、Wordにテキスト入力する意味だと気づかなかった私が悪いのですが、テープ起こしはご遠慮させていただきます。ついでにいうと、裁判の証拠として提出する場合は、弁護士さんを通して専門の業者に依頼することが多いのですが……。
「弁護士はいらないって言ったけど、私が欲しいと思ったの! 忙しいって言って、まともにこっちの資料とか精査してくれなくて! 書類作ればやってくれるって言ったし!」
それから、裁判の内容だの、弁護士の対応が理不尽だの、愚痴を5時間も事務所で喋り倒した上で、「パソコンサポーターなんだから、できるでしょ? 勝てる裁判書類の作成とか、ちょいちょいって!」。
なるほど。パソコンを使った「サポーター=熱烈な応援団」ですか。そういう仕事は司法書士とか専門の方がおりますので、と説明しても納得されず、「まったく作業をしていないから」と、5時間分のヒアリング代も支払わずに帰られました。
このように、PCサポーターという仕事は、一般の方には「パソコン関係のなんでも屋さん」と思われているフシがあるのですが、何でもやるわけではありませんと声を大にして言いたいです。
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