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【今宮純】F1アメリカGPドライバー採点&短評

2014年11月04日 13:30  AUTOSPORT web

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予選まではチームメイト、ロズベルグに敗れた形となったが、レースではきっちりと逆転。今季10勝目を挙げたハミルトン
今宮純氏が独自の視点でドライバーを採点。アメリカGPの週末を通して22人ドライバーのなかから「ベスト・イレブン」を選出。レース結果だけにとらわれず、3日間コース上のプレーを重視してチェック。
(最高点は☆☆☆☆☆5つ)



ニコ・ヒュルケンベルグ
きっとオースティンがニュルブルに似ていると思っているはずだ。高低差と路面のうねり(逆バンク角)などをつかみ、独自のラインを描く走りは意外だが一致する。アップデートがもうないチーム現状でのFP3の7位はさすが、でもここにきてメルセデスPUトラブル発生リタイアは無念。

ジェンソン・バトン
大物量作戦中のマクラーレン、いったい毎戦アップデートにいくら資金投下しているのだろう(タイトルスポンサーなしでどこから?)。イニシャルセットは的中、でもそこから後退して行くのはなぜ、なぜなんだ……。渋面のジェンソン、無線会話で怒りを。

☆☆

ニコ・ロズベルグ
ポジションダウン・レース今季7戦目、9回PPスタートから2勝のみ。抜きにいくと抜けずに、抜かれまいとすると抜かれる。ただしエンジニアリング的なテストドライバー能力は大いに評価したい。

ジャン・リュック・ベルニュ
鈴鹿のあと、人が変わった。フランスFFSA新人養成時代同期生ビアンキのことを想い、痛烈なレースに邁進。寄せてきたら跳ね返す、自分の来季トロロッソのシート確保のためだけではない。

パストール・マルドナルド
一昨年ここで9位入賞している。暴れるロータスE22を振り回す走法は一見ラフに映るが繊細で、リアクションに鋭さがある。いまどきF1でこれほど「怖い走り」をするのは、大昔の故アンドレ・デ・チェザリスさん以来かなと……(合掌)。

☆☆☆

ケビン・マグヌッセン
ひと言、マクラーレンでの「思い出づくり」は続く。

ロメイン・グロジャン
FP1でTV画面に映った16~18コーナーの“スピード&タイム分析"。入り口はハミルトンの14km/h落ち。でも出口は同じ261km/h(!)、なんて無謀なアクセルオンと思ったらコースを外れた。そこまで踏むとはみ出るじゃん、グロジャン。今、密かに注目されているストーブリーグのキーパーソンは彼だ。

☆☆☆☆

セバスチャン・ベッテル
目的はルノーPU15年のための“実戦開発テスト"に他ならない(6基目投入ペナルティ)。飛ぶ鳥最後のご奉公。50周目にスペインGP以来の最速ラップ、回生フルブースト状態でメルセデスとの差異データを提示した。意図的なレスダウンフォースを試みたのも次期RB11開発のため、4冠王が進んで犠牲バント的なレースを引き受けた姿勢は潔い。

フェルナンド・アロンソ
飛ぶ鳥後を濁さず、コンストラクターズ4位専守防衛を口にして懸命に6位キープ。終盤の周回では5秒落ちペースながらベッテルを抑えきった。言動を深読みすると今のランクを守り、1億円でも多く分配金を名門チームにもたらすこと。それを置き土産に、去れと言うなら自分から去る……。フェラーリ愛が透けて見えるレース、しかし新首脳陣には見えない(余談、「母さんはお前のあの髭、好きではありませんよ」とたぶん言ったことだろう)。

☆☆☆☆☆
ダニエル・リカルド
「世界一抜けるサーキットさ」。Rブルの直線スピードが遅いのは今までもそう。だったらコーナリングで抜けばいいのだ。トリッキーな1コーナーでのラインワーク、他でも随所で披露した「オーバーテイクの魔術師」。ミツアナ熊・リカルド。タイトル攻防戦はメルセデス勢に任せ、上質なGPドライバーズ・レースを演じる彼がいるから14年シーズンは救われている。

☆☆☆☆☆+☆

ルイス・ハミルトン
56周レース、今の彼の実力をじっくり鑑賞できる“完成作品"だ。スタートで斜めに止め、低回転でスリップを抑えスタートで2位キープ。そこからのペース駆け引きは5段階のバリエーションで(略す)、緩急をつけながら最後の抵抗に出たロズベルグを、49周目から自己ベストで突き放した。燃料も54周時点で93kg消費と完璧な17戦10勝目、でもまだV2が決まらないのが今年の最終戦ダブルポイント・ルール……。

☆なし
他11人

(今宮純)