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F1現地直送:アメリカでテストされた「バーチャル・セーフティカー」とは?

2014年11月03日 17:20  AUTOSPORT web

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アメリカGPでテストされたバーチャル・セーフティカー・システムは、15mごとにGPSで速度を監視するというもの。実施中は「VSC」と表示される
ロシアGPのミーティングで決まったとおり、アメリカGPのフリー走行で、ダブルイエローフラッグに対応する新たなシステムがテストされた。

 今回オースティンで実施されたのは「バーチャル・セーフティカー」(VSC)システム。コース上のどこかでダブルイエローが提示されるような事態となったときに、実際のセーフティカーではなく、仮想でセーフティカーを導入し、通常のセーフティカーランよりも強制的に走行スピードを抑えて、安全を図るという仕組みである。

 あるチームのエンジニアによれば、金曜にテストされたVSCシステムは、これまでのセーフティカーラン時のデルタ(通常走行とのギャップ)とは大きく異なるという。

「通常セーフティカーランのデルタは、セーフティカーライン1からセーフティカーライン2までの間のタイムを落とすものなので、ホームストレートは全開で走ってもいいが、VSCランは1周全体が対象となる。しかも、そのペースはGPSで15mごとにチェックするという厳しいものだった」

 そのため、ロメイン・グロージャンのように「ほとんどステアリング上のプラス・マイナス表示を見続けなければならなかった」と不満を漏らすドライバーもいた。フェルナンド・アロンソも「もう少し簡素化したほうがいいと思う。例えばカートでは、そのような状態では全車リミッターボタンを押して、簡単に同じスピードになるようにしているんだから」と、もう少し技術的に異なるアプローチを期待していた。ただ、グロージャンやアロンソも含めて、日本GPで起きたジュール・ビアンキの事故を受けて、FIAがなんらかの改善を行おうとしていることに関しては支持している。

 FIAも「今回のVSCシステムは、あくまでテスト」とし、「ブラジルGPの木曜に全チームのチームマネージャーがオースティンの走行データを持ち寄って、スポーティング・ワーキング・グループを開き、来年へ向けた話し合いを行い、運用を見直すこともある」と、さらなる変更を示唆している。

(尾張正博)