メルセデスAMGが1-2フィニッシュを果たしたアメリカGPで、3位表彰台を獲得したのは、レッドブルのダニエル・リカルドでした。レース前、私はウイリアムズのバルテリ・ボッタスの3位は確実……と見ていたのですが、結果的には5位に終わり、4位にはフェリペ・マッサ(ウイリアムズ)が入りました。なぜそのような結果になったのか、ラップタイムを検証してみましょう。
リカルドがウイリアムズの前に出ることができたのは、1回目のピットストップでボッタスを、2回目のピットストップでマッサをそれぞれアンダーカット(ライバルより早めにピットストップを行い、タイムの出やすい新品タイヤを履いて順位を逆転する作戦)したからです。しかし、それ以上の気になる違いが、ウイリアムズとレッドブルにはありました。それは、ウイリアムズがタイヤをソフト→ソフト→ミディアムと繋いだのに対し、リカルドはソフト→ミディアム→ミディアムと繋いだことです。
戦前、ソフトタイヤはミディアムタイヤに対し、デグラデーション(性能劣化)が大きく、1発のタイムは速いものの、ペースの下落が激しいと言われていました。しかも、ウイリアムズはレッドブルのマシンよりもタイヤへの影響が大きい……そのため、ミディアムタイヤをメインに使うものと思われていました。しかし、ソフトタイヤを履いた第2スティントのウイリアムズのペースはほとんど落ちず、2回目のピットストップまで走りきってしまいました。ウイリアムズのみならず、最適な戦略はソフト→ミディアム→ミディアムと言われていて、ピレリも土曜日のリリースに、そう推奨戦略を記載しています。
もうひとつ想定外のことがありました。それは、速いと言われていたソフトタイヤを履いていたウイリアムズのペースが、ミディアムを履いたリカルドと同等だったこと。逆を言えば、リカルドがミディアムタイヤにも関わらず、ソフトを履くウイリアムズと同等のペースで走行できたことが、ピットストップでのアンダーカットを可能にしたとも言えると思います。もっと言うならば、“リカルドのタイヤチョイスは最善ではなかったのにライバルについて行けた”とまで言えるかもしれません。
後方のマシンを見ても、ジャン-エリック・ベルニュやパストール・マルドナドなど、ソフトタイヤをメインに使ったドライバーの方が、良い結果を残しているように見えます。おそらく路面のコンディションが、土曜日よりもよりソフトタイヤに適したものになっていたのでしょう。
リカルドの戦略は、おそらく最高の戦略ではなかったはずです。それでも、今季絶好調のウイリアムズを交わして、3位表彰台を獲得。リカルドというドライバーの素晴らしさを、改めて見ることができた1戦だったように思います。
(F1速報)