5連勝を決めたルイス・ハミルトン。不利と言われた偶数グリッド(2番手)からのスタートを無難に成功させてポジションをキープ。先頭を行くポールポジションスタートのチームメイト、ニコ・ロズベルグに離されずに追走し、最初のピットストップを終えた後の24周目、12コーナーで先頭に躍り出るとそのまま逃走……チェッカーフラッグまで走りきり、自身2度目のタイトルへ向け、さらに一歩、その歩みを進めました。
今回のアメリカGP、何が勝敗を分けたのでしょうか? ペースを詳しく検証してみましょう。ハミルトンとロズベルグ、最初のスティントのペースはほぼ互角かロズベルグの方が若干速いという状況でした。事実、最初のピットストップを終えた後のふたりの差は約2.4秒となっています。
しかし、ここから両者のペースに差が出ます。ふたりが第2スティントで履いたのは新品のミディアムタイヤ。しかし、ペースはハミルトンの方が0.3~0.7秒程度速く、ロズベルグを追いつめ、24周目についに順位が逆転します。その後もハミルトンの方がペースは若干よく、2回目のピットストップを終えた時点で、今度は逆にハミルトンが3秒ほど先行する形となりました(この時、ロズベルグにはERSのトラブルが出ていたとの情報もあり)。最終スティントでロズベルグは、ハミルトンから約2秒差まで接近しますが、それが精一杯でした。
ロズベルグはこのペースの差について、「昨日とはコンディションが違って、リズムを掴むことができなかった」と言っています。しかし、第3スティントのふたりペースを見ると、どうもそれだけではなかったような気がします。
46周目、ロズベルグは1分42秒371というハミルトンよりも0.5秒も速いタイムで周回し、2.4秒だった差が1.9秒まで急接近します。しかし翌周、ハミルトンも1分42秒254に0.5秒もペースアップ。その後48周目と49周目を1分41秒9で走ります。ロズベルグは「ハミルトンには届かない」と悟ったのか、49周目に1分42秒4までペースダウン。これを見たハミルトンは、50周目を1分42秒7まで落とします。つまりハミルトンは、もっと速いペースで走ることができるにも関わらず、ロズベルグのペースに合わせてペースをコントロールしていたように見えます。つまり、僅か4.3秒差のフィニッシュでしたが、ハミルトンはまだまだ余裕を持った状態での、完勝だったのかも知れません。
恐ろしいまでに冷静にレースペースをコントロールし、アメリカGPを制圧したハミルトン。ロズベルグにはもはや打つ手はありませんでした。このレースを見る限り、トラブルが発生しなければ、ハミルトンのチャンピオン獲得は堅いと言えそうです。
(F1速報)