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F1現地直送:エリクソンのザウバー加入で、スーティル有利になるか?

2014年11月03日 16:00  AUTOSPORT web

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「エリクソンの加入はポジティブなニュース」と語るスーティルのマネージャー。アメリカGPでの予選10位はスーティルの実力を証明する結果だが、それが来季シートに直結するかどうかはザウバー次第だ
アメリカGPの予選後にパドックを歩いていると、ニッコリ笑って握手を求めてきた人物がいた。予選で今シーズン初めてQ3進出を果たし、10位を獲得したエイドリアン・スーティルのマネージャーを務めるマンフレッド・ツィンマーマンである。

 ツィンマーマンが笑顔だったのは、スーティルがザウバーに今季最高となる予選10位をプレゼントしたからだけではなく、もうひとつの理由があった。それは予選が終わってから10分後に、今季ケータハムに所属していたマーカス・エリクソンの2015年ザウバー入りが発表されたからである。

 なぜザウバーの来季シートのひとつが埋まってしまったのに、スーティルのマネージャーが喜んでいるのか? それは、エリクソンが多額の持参金を背負ってザウバーへやってくるからである。その額は約20億円。この高額な持参金が、ケータハムのアメリカGP欠場決定からわずか1週間後に、今季ノーポイントのエリクソンが新たなシートを獲得することができた最大の理由だろう。

「ザウバーにお金が持ち込まれることになったおかげで、我々の交渉はやりやすくなるだろう」というのが、スーティル側が笑顔を見せる理由だ。ツィンマーマンは、こう続けた。「これで、もうひとつのシートは経験があり、ポイントが取れる実力のあるドライバーに与えられるだろう」

 しかし、ケータハムとマルシャが脱落した今、F1界で最も経営状態が苦しいとウワサされるザウバーには、お金がいくらあっても多すぎることはないと言う者もいる。

「もしエリクソンのザウバー入りが20億円の持参金で決定したのなら、25億円の持参金があるエステバン・グティエレスが残留する可能性も高いだろう。かつてザウバーと同じスイス人で、2013年GP2チャンピオンに輝いたファピオ・ライマーが15億円の持参金を用意して、ザウバーと交渉のテーブルに就いたとき、モニシャ・カルテンボーン代表は『ウチには、それより10億円も多い持参金を用意できるドライバーがいる』と言っていたから、25億円の持参金 はグティエレスだけでなく、ギド・バン・デ・ガルデにもあるかもしれない」と、某スイス在住ジャーナリストは証言する。

 25億円の持参金があると見られるグティエレス、15億円のライマー、そして、12億円の支援を持つフェリペ・ナスル(現在ウイリアムズのリザーブドライバー)、そして、金 額は不明だが、すでにマクレガーのスポンサーマネーをザウバーに持ち込んでいるバン・デ・ガルデ。このマネーゲームに、持参金をほとんど持たないスーティルが勝利を収めることができるのか? ストーブリーグは熱気を帯びてきた。

(尾張正博)