「好きなときに休暇が取れて、好きなだけ休める」――。そんな夢のような制度を、英国ヴァージングループが打ち出しました。まずは本社スタッフから始め、うまくいけば子会社にも導入していくそうです。
この制度を提案した同グループの会長・リチャード・ブランソンは、会社のブログなどで次のような素晴らしいことを書いています。
「休暇を取るのに許可を求めることも、いつ出社する予定なのか告げる必要もない」
「仕事はその内容を重視すべきであって、何日何時間働いたのかということは重要ではない。9時から5時の間はきっかり働くという主義も、休暇の取り方に関する方針も必要ない」
英断を賞賛し、歓迎するコメントもあるが…
これを報じた英BBCのサイトには、読者から多くのコメントが寄せられています。まずはブランソンの英断を賞賛し、歓迎するコメントをご紹介しましょう。
「ボスが社員に全幅の信頼を寄せているから、社員は家族の一員のような気持ちになり、最高の仕事をしてくれるだろう」
「私が働いていた会社では、休暇を貰うには事実上頭を下げてこっそりと休むしかなかった。前の会社を円満退社できていなかったら、すぐさまブランソンの元で働きたいと思っていただろうな」
「前の上司が非公式に同じことをやっていて批判されたけれど、170%の利益を出していたよ。正しいマネジメントをそれが合う環境の中で実行すれば利益は上がるのだと思う」
2番目のコメントにあるような人が増えれば、無期限休暇の導入により求人倍率が上がり、優秀な人材が集まりやすくなる可能性もあります。
ただ、普通の企業ではなかなか難しいのは、3番目のコメントがあらわしています。業務の生産性が上がり、利益が増えても、批判したがる人はいるのかもしれませんね。
一方で、醒めた意見もあり、むしろ数では意外にも制度に対して疑問を持っている人の方が、支持派を上回っているようにも見えます。
「休まないという選択肢」の危険性を指摘する人も
反対派からのコメントは、次のようなものです。
「上司の心象を良くしたい人は、むしろ休まずに長時間働くようになってしまうと思うし、同僚からのプレッシャーだってある」
「自分のキャリアに傷をつけないように、今までよりも休暇を減らす人が出るのが目に見えている」
また、こんな可能性を指摘する人も。
「『全てのプロジェクトを完了させて、100%くつろげる時に限ってこの制度が使える』だって? つまりこの制度は、永遠に利用されないってことだ」
「この制度を導入して、休暇に関する方針を撤廃することは、つまり法で定められている休暇制度も撤廃することになるよね」
確かに休みを取るために同僚の感情や仕事の進捗を気にする状況は変わらないし、休暇の取り方を全て社員に任すことで「休まない」という選択肢も生まれてしまいます。
その辺りは個人の事情なので、自分で判断してくださいね――。そう言われてしまえばそれまでですが、現実には夢の制度が「悪夢の制度」になってしまいかねません。最後に、読者からの評価が高かった皮肉をひとつ。
「ブランソンは、コールセンターのスタッフと彼の専属ドライバーには、この制度は適用しないんだろうなあ」
(参考)Virgin's Richard Branson offers staff unlimited holiday (BBC)
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